2022-02-18

【「東急ハンズ」売却】なぜ、東急不動産ホールディングス・西川弘典社長は決断したのか?

西川弘典・東急不動産ホールディングス社長

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再生可能エネルギーで業界ナンバーワン


 今回の東急ハンズ売却が、長期ビジョン策定がきっかけになったことからわかるように、東急不動産HDは事業の姿を変えつつある。その軸となるのが「環境」と「デジタル」。

 中でも環境は、長期ビジョンの中で「環境先進企業を目指す」と宣言。それだけでなく、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電など、自らが発電所を持ち、発電容量を増やしている。合計投資額は2800億円程度に上る。

 21年12月末時点の発電所の定格容量(発電能力)は1314メガワットで、天候や安定性の問題は考慮する必要はあるが、原子力発電所1基分(1000メガワット=100万キロワット)、一般家庭約53万世帯分の電力量に相当する。

 すでに再生可能エネルギーの発電においては日本全体でもトップグループに位置し、不動産業界ではナンバーワンだ。また、東急不動産HDは企業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーとする国際的枠組みである「RE100」に不動産業界で初めて加盟しているが、当初目標の2050年の達成を前倒しし、2025年とすることを表明している。

 東急不動産の強みは、田園都市線沿線開発などの都市開発の他、リゾート事業を通じた開発など、地元の意見を取りまとめと許認可を取り、行政の協力を得てインフラを整備するといったノウハウの蓄積。

 西川氏は「あらゆる再生可能エネルギーに取り組んでいきたい」と話す。デベロッパーでありながら、本格的に発電事業に取り組むという独自の立ち位置を今後さらに強めていく。

「長期ビジョンの発表がファーストステージだとすれば、今はまだセカンドステージ。これで変化は終わりではなく、まだまだ変化し続けていかなければいけない」(西川氏)

 22年5月にも発表が予定されている中期経営計画は長期ビジョンの中で「再構築フェーズ」と位置付けられており、今後さらなる変化をもたらす施策が打ち出される可能性が高い。

 例えば、西川氏は最近他に再構築が必要な事業としてスキー場、ゴルフ場を挙げているが「事業として切り離すものではなく、プロジェクトごとに見て、状況が悪化しているものは業態転換や他社への譲渡など幅広い選択肢の中から選んでいく」

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