2022-01-05

どうなる? 2022年の鉄道業界 野本弘文・東急会長に直撃!

コロナ禍でも続く渋谷再開発 駅中心に“ツインスクランブル”


 ── 消費者に直結したビジネスを展開する東急会長の野本弘文さん、コロナ危機の総括と展望から聞かせてください。

 野本 当社は鉄道、バス、ホテル、ショッピング、レジャーなど人が集まれば集まるほど収益の出る事業を行っています。それがことごとく影響を受けました。鉄道やバスでは新しい生活様式や働き方が定着し、通勤や遠方に出かける需要が減少しました。鉄道の輸送人員はピークで30%以上の減少となり、22年も2割減を覚悟しなければなりません。それでも利益が出せるような体質に変えているところです。

 ── 現在も進行中の渋谷再開発。どんな街にしますか。

 野本 大事なことはオープンな街であることです。駅直上に建つ230㍍の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」が19年に開業し、再開発は第2フェーズに移行しています。

 中でも東棟の隣にできる27年度開業予定の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)」が完成する頃には駅中心に“ツインスクランブル”のイメージができます。

 ── 中身も変わるのですか。

 野本 今のスクランブルはエンターテインメントを象徴する「遊(ゆう)」の交差点の位置づけです。一方、新たにできるスクランブルは、まさにクリエイティブな面も含めた「知(ち)」の交差点がテーマです。周辺にはIT企業をはじめとしたクリエイティブ企業や大学と連携した施設もあります。こういった様々な要素が相俟ったまちづくりを今後も行っていきます。

 ―― 渋谷だけにとどまらない大規模な開発になりますね。

 野本 はい。「グレーター渋谷(広域渋谷圏)構想」と呼んでいますが、渋谷を核として隣接する代官山にもつながり、恵比寿や青山、原宿にもつながっていくと。

 既に「渋谷ヒカリエ」では3・4階部分に宮益坂と並行してフラットな歩行空間ができ、渋谷駅から宮益坂上までスムーズに移動できるようになっています。

 ── 東急グループは22年に創立100周年を迎えます。

 野本 当社の前身である目黒蒲田電鉄は1922年に創業されました。同社を率いた五島慶太翁は当時から「安心」「快適性」に加え「楽しさ」と「豊かさ」を追求する、サステナブルなまちづくりを行ってきました。その精神は当社のDNAとなり、脈々と受け継がれています。

 そしてこれからも「日本一住みたい沿線」の実現のために何が必要なのか貪欲に追求し、サステナブルでオープンな街づくりを体現していきたいと思います。

南町田や武蔵小杉などで官民連携 「域内移動」を創出する【東急】の郊外再活性化策

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