2021-04-29

東急不動産が「社内炭素税」を検討 2050年の脱炭素に向け一工夫

東急不動産の本社が入る「渋谷ソラスタ」

企業が炭素に価格を付け低炭素に向け活動


「社内炭素税」が日本企業にじわりと広がりを見せている。不動産大手の一角・東急不動産は、2025年までに社内炭素税を導入すべく検討に入った。日本の不動産会社としては初めての事例となる可能性がある。

 炭素に値段を付けて、CO₂を排出した企業などに資金を負担させる仕組みを「カーボンプライシング」(CP)というが、炭素税はその中の一つ。

 CPは主に国や自治体の政策として行われるが、企業の自発的な取り組みに「インターナルカーボンプライシング」(ICP)があり、東急不動産が検討する社内炭素税は、このICPに位置づけられる。

 ICPは企業が独自に自社の炭素排出量に価格を付け、何らかの金銭価値を付与することで、企業活動を低炭素に変化させることを狙うもの。社会全体の脱炭素への動きが弱い時には価格を下げ、強い時には価格を上げるなど、運用次第で低炭素への取り組みを柔軟に変化させることが可能になる。

 「環境関連の取り組みは強化しており、社内炭素税の検討はその一環。具体的なやり方は今後検討を進める」(東急不動産関係者)

 実際、東急不動産は19年に、事業用電力を100%再生可能エネルギー由来にすることを目指す国際イニシアチブ「RE100」に加盟。当初、2050年の達成を掲げていたが、すでに25年に前倒しすることを発表している。

 日本は菅義偉首相が2050年の脱炭素を宣言。企業も様々な取り組みを進めているが、東急不動産の社内炭素税への取り組みは、それを加速させる可能性がある。

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