2023-11-29

富国生命保険社長・米山好映「何が起きてもお客様との契約を守り続ける。それが生命保険事業の本質」

米山好映・富国生命保険社長




小売業の先達に学んできたこと

 ─ 創業100周年を迎えて、富国生命の基軸をもう一度確認しようということですね。

 米山 ええ。それは何なのかといったら、繰り返しですがご契約者との約束を未来永劫守ることができるかどうか。我々の仕事は家計に直接影響のある仕事です。一家の主がお亡くなりになった時に、保険金が払えない、削減して下さいといったことが、90年代にバブルが崩壊して、他社において実際起きたわけです。そういうことは絶対にあってはならないことです。

 ─ 米山さんが日本企業の経営者を見ていて、参考になったという人は誰がいますか。

 米山 私は若い頃から小売業に関心を持って見てきました。第1世代の中内㓛さん(ダイエー創業者)、伊藤雅俊さん(イトーヨーカ堂創業者)、堤清二さん(セゾングループ創業者)、最近亡くなられた清水信次さん(ライフコーポレーション創業者)、ご存命の方で言えば岡田卓也さん(イオン創業者)の行動には、ずっと注目してきました。

 ─ その中で特に印象に残った人はいましたか。

 米山 私は伊藤さんに、直に何度も教えを請いました。伊藤さんから「お客様が大事だよ」と言われたら、心の底から納得します。伊藤さんは昔から、今日本で言われている従業員、地域、取引先、株主を大事にする「ステークホルダー経営」を進めてきた方です。

 ところが、伊藤さんが、ある新聞の取材で「お客様第一。その次に従業員、地域、取引先、最後に株主」と言ったら、「株主を軽視している」と記事に書かれてしまったのです。

 ─ 記者の側が本質とは違うところを見ていたと。

 米山 伊藤さんは昔から、ROE経営、株主を意識した経営を進めてこられた方です。あの世代で、あれほど株主を意識した経営を実践した方はいらっしゃらなかったと思います。

 例えば、ダイエーの中内さんは不動産を保有しましたが、伊藤さんは建物をリースで、不動産は所有しませんでした。不動産を持つと資本効率が悪くなり、ROEが下がるからです。その意味でも、日本企業において、ある面で最も株主を意識した経営をした方だと思います。

 当社は実質的な創業者である第2代社長の吉田義輝が「ご契約者本位」という想いで相互会社として創業したという歴史があります。この創業の想い、そして姿勢は、これからも変わりません。

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