2022-09-07

【政界】旧統一教会問題と新型コロナが足かせに 最大の危機を迎える岸田首相

イラスト・山田紳



不満隠さない高市

 そんな中、政調会長から経済安全保障担当相に転じた高市早苗は14日、自身のツイッターに次のように投稿した。

「組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」

「21年前の掲載誌」は、教団と関連する「世界日報」が発行する月刊誌に対談記事が出たことを指す。さらに翌日の記者会見で高市は、春先から自身の政調会長更迭論が出ていたことを生前の安倍に相談したところ、安倍から「すべての役を外されることはないように思う。岸田さんから頼まれたことは絶対に断らずに受けなければいけないよ」とアドバイスされたことを明かした。

 岸田は高市をさほど評価していない。政調会長に起用したのは安倍に気を遣ったからだ。引き続き閣僚で処遇したとはいえ、経済安保相は府省を所管しない無任所のポスト。高市の真意は「不本意だが、安倍の遺言があるので辞退はしない」ということではなかったか。

 一方、自民党側では萩生田に新たな問題が発覚した。6月、参院選東京選挙区で初当選する前の生稲晃子を連れて、自身の地元・八王子市内にある旧統一教会の関連施設を訪問したとニュースサイト「デイリー新潮」が報じたのだ。萩生田は8月18日、教団と関係のある団体の施設と知りつつ訪問したことを記者団に認めた。党都連会長としての明らかな選挙対策で、「お付き合い」のレベルを超えている。

 政調会長就任に際し、萩生田は「関連団体のイベントへの出席」を岸田に報告したが、この件は伏せていた。立憲民主党幹部は「説明が二転三転している。有権者はおかしいと思うだろう」と不信感を強めている。

 一向に落ち着く気配がない岸田政権に衝撃的な数字が飛び込む。毎日新聞の20、21両日の世論調査で、内閣支持率は7月の52%から36%に急落。不支持率は54%で、支持と不支持が逆転した。同時期の産経新聞の調査では逆転こそしなかったが、支持率は7月から8.1ポイント減の54.3%。同社の調査で60%を切ったのは初めてで、トレンドは毎日と一致している。

「旧統一教会の問題を連日報じられたら下がるに決まっている」(閣僚経験者)と岸田をかばう声はある。茂木は早くから「党としては一切関係がない」と予防線を張ったが、事ここに及ぶと、政権の初動対応には疑問が残る。

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件も影を落とす。14年の大会組織員会発足時から21年まで会長を務めた森はトップとしての責任を免れず、安倍派の動揺は当分続くことになる。それは安定政権を目指す岸田にとっても痛手だろう。

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