2021-03-21

日本マクドナルドHD新社長に米J&J出身の日色保氏

日色 保・日本マクドナルドHD新社長

コロナ禍での数少ない外食の勝ち組となっている日本マクドナルドホールディングスの新社長に事業会社・日本マクドナルド社長の日色保氏(55)が3月26 日付で就任することになった。

 約7年間の在任期間中、就任直後から期限切れ鶏肉使用の問題や異物混入問題に直面し、2001年の上場以来最悪の赤字だった同社を復活させた現社長のサラ・カサノバ氏( 55 )は持ち株会社の会長に就く。

 コロナ禍で旺盛となった巣ごもり需要を捉え、同社の20年12月期の営業増益は過去最高。コロナ前から進めていたドライブスルー、自前の配送網やウーバーなどの外部企業を活用した宅配、事前注文を可能にしたモバイルオーダーなどの体制をいち早く構築した成果が出た。

 20年12月期中に約2900店の半数に当たる約1500店で宅配に対応。客数が毎月1割前後減る中でも、「まとめ買いを誘発しやすい家族需要を捉えた」(関係者)ことなどから、客単価を1割以上伸ばした。

 中でもカサノバ氏の功績として挙げられるのは「自ら消費者の声を聞いて回った」(同)ことだ。全国の店舗を回り、母親とのタウンミーティングを開催。消費者の声をすくい上げ、地に落ちたブランドの回復には「とにかく食品の安心・安全を図ること」と説いて回り、店舗改装や原材料の生産地・加工工場の動画の公開、子供連れでも快適に過ごせる店づくりを徹底して信頼回復に努めた。

 日色氏は米ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人で医療機器の営業を担当し、マーケティングやトレーニングで頭角を現して46歳で史上最年少の現地法人社長に就任した「人づくりのプロ」(別の関係者)。18年のマクドナルド入社後、半年間、日色氏も自らクルー(従業員)として店舗で汗を流した。

 ただ、「日色氏が先導した目新しい功績はない」(同)のも事実。また、持ち帰りや宅配は牛丼や回転すし、ファミレスなども強化しており、マクドナルドの先行者メリットは薄れている。

 商品や価格での競争が今以上に激しくなる中でも17万人のクルーの士気向上と収益拡大を図れるか。21年には50周年を迎えるマクドナルド。日色氏の人づくりの中身が問われている。

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