2023-11-28

世界連邦運動協会会長・大橋光夫の訴え「地政学リスクが高まる今、日本の被爆から始まった『世界連邦運動』を世界的運動に」

大橋光夫・世界連邦運動協会会長(レゾナック・ホールディングス名誉相談役)




台湾と日本との友好関係を踏まえて

 ─ 振り返って、活動の始まりは原爆の悲惨さだったわけですが、そのきっかけは戦争ですね。その意味では、なぜ国は戦争を起こすのかという問いに立ち返る必要がありますね。

 大橋 やはり、領土の拡大が一番の根本にあると思います。領土を拡大することで、そこから生まれる生産物なり何なりを、自分の国のものとして自由に使うことができる。

 奇しくも、いま私は日本台湾交流協会の会長を務めています。私自身は台湾有事に関わる立場ではありませんが、通常の台湾と日本との関係の中で、漁業問題などについての様々な協定があります。それらは私が調印して初めて、実行に移されるという立場ではあります。

 ─ 10月10日には「双十節」(中華民国の建国記念日)がありましたね。

 大橋 私も祝賀式典で挨拶をさせていただきましたが、世界中で、隣同士でこれほど仲のいい関係は日本と台湾が一番だと思います。このことに誇り、自信を持って、全世界に素晴らしさを発信していくこと。それを全世界の人達が理解すれば、世の中から戦争がなくなることにつながるのではないかという思いを持っています。

 ─ 世界連邦運動は非常に大きな構想ですから日本の政治、経済の関係者を動かす必要がありますね。

 大橋 そう思います。ただ世界でも共通しているかもしれませんが、今は政治家も経営者も、実務的なリアルの話に集中する傾向が強く、このような世界的な課題に対する発言が少なくなっているように感じます。

 ただ、世界連邦運動は、政界では超党派での取り組みになっていますし、経済人の中にも意識のある方はおられます。

 ─ 大橋さんの祖父は首相を務めた濱口雄幸ですが、1930年(昭和5年)のロンドン海軍軍縮条約を締結後、国内で批判を受け、銃撃され、間もなく亡くなりましたね。日本の進路を考えて、やるべき事をやるという信念の政治家だったと思います。

 大橋 世界連邦運動は非常にスケールが大きく、実現も容易ではありませんが、ただ世界のため、人類の繁栄のため、もちろん日本のためになる構想ですから、これからも取り組んでいき、国連の改革も含め、世界的活動として少しでも実現の方向へ働きかけたいと思っています。

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