2023-11-28

世界連邦運動協会会長・大橋光夫の訴え「地政学リスクが高まる今、日本の被爆から始まった『世界連邦運動』を世界的運動に」

大橋光夫・世界連邦運動協会会長(レゾナック・ホールディングス名誉相談役)




人類はいつ、どこで生まれたか?

 ─ 長年にわたる世界連邦の構想ですが、どのような形で実現の可能性を高めていくかが課題だと思います。

 大橋 おっしゃる通り、この構想をどうやって実現するかというところに持っていかないと、話だけで終わってしまっては意味がありません。

 ─ 日本は岸田首相が広島でのサミット開催を実現するなど世界との連携を深めている一方、日米同盟の中で軍事的に米国の傘の下で守られているという現実があります。

 大橋 本当に難しい問題だと思います。しかし核の問題は地球で最大の問題だと思います。

 遡ると、地球上に人類がいつ誕生したか。様々な学説がありますが、地球が約46億年前、人類は約250万年前に生まれたと言われています。

 しかもアフリカで生まれ、そこから世界中に広がっていきました。ということは、どう考えてもアフリカ人も、アメリカ人も、ユダヤ人も、日本人も、みんな同じ血がつながっているはずです。

 ですから、そもそも戦争をして、隣国との間に勝手に線を引いて、陣地を増やしたり減らしたりと言って喧嘩をしている場合ではないのです。人類の歴史を振り返ると、今の地球人は愚かだと言わざるを得ません。

 ─ 難しい問題ですが、解決につながりそうな考え方はありますか。

 大橋 例えば日本の例です。戦国時代、自らの領地を守るために争いを繰り広げていましたが、徳川家康が出てきて軍事的にも政治的にも全体を抑え込んだわけです。この時に初めて、日本という国が生まれたのだと思うのです。

 その意味で、この事例を世界、地球に拡大すればいいのではないかと思います。国境線を引いて争うのが当たり前ではないのです。特に日本はそういう性格を持った国です。

 その意味からも、本当に地球を、そして人類を守るために、今の世界連邦運動は重要だと考えています。

 ─ この世界連邦運動は本部組織のようなものはあるのですか。

 大橋 本部があるといっても、各国の団体が加盟する国際事務局のような組織といえ、世界全体でまとまって活動するような仕組みにはなってはいません。とはいえ、国連の経済社会理事会に参加できる資格を持つ国連から認定されたNGO(カテゴリー2:特殊諮問資格)ではあります。加盟団体は28カ国にありネットワークはしていますが、自律分散的な組織といえます。言ってみれば、国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、こうした考えを持って取り組んでおられますが、一向に広がらない。

 また、日本に世界連邦運動にかかわる団体は6団体あり、世界連邦運動協会は、そのうちの1つです。また、各自治体では「世界連邦宣言」を出しているところがあります。

 こうした活動をある程度束ねる形で、世界連邦の日本推進協議会が年1回理事会を開きます。そして歴代、世界連邦運動協会の会長が、日本推進協議会の会長を兼ねています。

 各団体は、組織的に1つの方針、活動の下にというわけではなく、各団体がそれぞれの理念や考えの下に活動をしています。これは世界も同様です。

 ─ 政治は、どうしても足元で起きている課題に引っ張られますが、世界連邦運動は根本の問題ですね。

 大橋 あまりに大きな問題ではありますが、この問題を解決しない限り、地球、人類の破滅が起こり得るのではないかと思っています。

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