2023-11-30

富国生命・米山好映の原点回帰論「最大たらんよりは最優たれ」

米山好映・富国生命保険社長

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世界的に通用する経営を

 売上高至上主義。収益性(利益)を無視した売上高・シェア競争に明け暮れていると、何が起きるか。例えば、中古車販売・整備のビッグモーター事件である。そして、それに絡む損害保険会社の〝脱線〟である。

 売上高競争、シェア争いに気を奪われると、経営の本質を見落としがちになるという教訓。

 そこで、単に売り上げが立てばいいというのではなく、生保経営の本道に沿う経営、つまり収益の伴う経営を目指そうという米山氏の生保経営論。

「わたしたちも若い頃から、それを叩き込まれましたからね。それは、資本主義の国であれば、世界的にも通用する話だと思っています」と米山氏が続ける。

「要するに、利益が出なければ、意味がないだろうと。利益と相関的に規模(売上)が大きくなっていくのであれば、やはり大きくなったほうがいいわけです。それは当たり前な話で、だから規模というのは、利益を伴った規模でないと意味がないよと。そうでないとROE(自己資本利益率)は下がるし、投資家は買ってくれない。そんなことは欧米では当たり前だったんです」

 しかるに、日本では規模(売上)やシェア争いにシノギを削る風潮が長い間続いてきた。

 しかし、グローバリゼーションが進み、資本市場が自由化され、収益重視の考えも強まってきた。転換期となったのは30年前のバブル経済崩壊、そして、それに続く金融危機であった。

 バブル経済が弾けた1990年代初め以降、金融機関の不良債権問題が表面化。体力の衰弱した金融機関が続出し、97年末には山一証券、北海道拓殖銀行が経営破綻。98年初めには、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が相次いで破綻した。

 政府は『金融ビッグバン(大改革)』を推進(1996―2001)。それまで銀行、証券、保険と業態ごとに〝護送船団方式〟で行われてきた金融政策も、自己責任を求める方向に改革されていった。

 金融機関側も銀行、証券、保険の垣根を取り払い、再編成を推進。3メガバンクの誕生をはじめ、証券、生損保の統合・合併も相次いだ。

 銀行は証券業務に進出しようと証券子会社をつくり、証券も銀行業務を手掛けたり、損保が生保子会社をつくったりと、合従連衡が進んだ。

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