2023-09-15

日本ペイント・喜田益夫社長に直撃、「現場・現物・現実の『三現』主義に徹していると、課題解決の道筋が見えてくる」

喜田益夫・日本ペイント社長




30代のメンバーに事業戦略づくりを任せる

 ─ その意味では、人材育成が今後ますます問われる時代ですね。

 喜田 そう思います。私は入社後10年と30年では差がないと言っています。1つの事業で10年も仕事をすればプロになりますから、「自分は30年やってきた」という理屈は通用しないよという話を50代の社員にもしています。

 その考え方に基づいて、3年前に「事業戦略推進室」という部署をつくりました。メンバーは5人で、室長が当時36歳、一番若いメンバーは26、7歳です。彼らに日本ペイントの事業戦略づくりを練ってもらったのです。

 ─ その室長には、役割をどう伝えたんですか。

 喜田 何よりも会社の課題に対して、上司のことを考えずに解決法を考えて欲しいと。「君がトップだから、自分で考えて欲しい。方向が違っていると感じたら修正するから」と伝えました。

 室長は、私が常務時代から知っている人間で、文句も言いますが、仕事ができる人間です。技術も営業もわかって、経営手法を勉強している。実際にどれだけの実力を出せるかを見極めることができました。

 ─ 実際に成果が出ているわけですね。

 喜田 そうですね。例えば北は北海道から南は沖縄まで、支店から優秀な人間を集めた若手育成研修を行うというのも、彼らのアイデアです。

 集めた人材にテーマ、課題を与えて、それに対する解決策を発表してもらい、評価をする。それが本当に社会的価値、経済的価値で生きるものであれば、実際に取り組むことにしているんです。実際にうまくいって、数字にも表れています。商品開発やマーケティングについても、様々なアイデアが出ており、一体になって取り組んでいます。

「人」の成長が、我々の会社全体につながっていくことが今後ますます必要になります。

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