2023-08-09

クレディセゾン・林野宏会長に直撃!「ゆるやかな『絆』で結ばれた経済圏をつくり、ライバルとの競争に打ち勝つ」

林野宏・クレディセゾン会長CEO




スルガ銀行とのシナジー発揮を!

 ─ 23年5月にスルガ銀行の発行済み株式の15.12%を171億円で取得し、持ち分法適用会社にしましたね。この狙いを聞かせて下さい。

 林野 大きくは「総合生活サービスグループ」として、銀行機能が必要だと考えたからです。

 細かく言えば、これまで我々のファイナンス事業は貸金業法の縛りの中にあり、調達金利もどうしても高い状況でした。それに対し、銀行は低利です。

 今後、スルガ銀行が、クレディセゾンの会員向けのネット専用支店「セゾン支店」(仮称)を設立すると同時に、我々が銀行代理業を取得し、両社で共同開発した支店独自の商品・サービスを提供していきます。

 他にも、スルガ銀行の富裕層や中小事業主のお客様向けに「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」の提供を開始しますし、スルガ銀行が当社の保証がついた住宅ローンを新たに販売することで、スルガ銀行の住宅ローン事業と当社の信用保証事業の双方を拡大していきたいと考えています。

 また、不動産ファイナンスには両社ともに強みを持っていますから、そのノウハウやインフラを融合し、市場でのプレゼンス向上を図っていきます。

 ─ 今回の資本業務提携では、スルガ銀行がクレディセゾン株の4.44%、約155億円分を取得していますね。この狙いはどこにありますか。

 林野 まず、当社が15.12%を取得し役員を派遣したのは持ち分法適用会社とするためです。また、スルガ銀行に当社の株を持ってもらったのは、お互いにギブ&テイクで、イコールパートナーだという発想からです。

 ─ 静岡東部、東京、神奈川が商圏の銀行ですが、スルガ銀行の良さをどう見ていますか。

 林野 そもそもは、同じ県内に静岡銀行という存在がおり、正面から競争しても勝ち目がないと考えて、神奈川の方に商圏を広げていった。そして法人ではなく、個人にターゲットを絞ったこともユニークですね。スルガ銀行の融資は個人が9割、法人は1割という構成です。

 ─ 他の銀行とは違う、独自の生き方をしていると。

 林野 そうです。スルガ銀行はリテール銀行ですから、ノンバンクとの相性が良いのではと考えています。

 振り返れば、グループ内で銀行を持とうという議論は、これまで何度もありました。ただ、下手に子会社に銀行を持ってしまうと、その規制が事業の足枷になるのではないかという懸念があり、実現しませんでした。

 その後、2008年から新たな基幹システム構築に着手しましたが、当初2012年に完成する予定が、最終的には18年までかかってしまった。我々が動けないうちに楽天グループがカードで成長を進めたわけです。この失敗は今後、取り返していきたいと思っています。

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