2023-06-15

田代祐子・アコーディア・ゴルフ会長「日本社会に風穴を開けるカギは女性」



日本の社会を変えるために

 ─ 日本は「失われた30年」と言われ、賃上げや投資が絞られました。一方で米国は前向きな企業が多いと言われます。この違いは何だと考えますか。

 田代 日本企業の場合、個人のスキルや業務が全て個人に属しているところに課題があるのではないでしょうか。米国企業の場合はマニュアルがきっちり整えられており、誰が仕事を担当しても、その仕事をこなせる仕組みになっているのです。

 日本企業では、なかなか担当者を入れ替えることができず、その人がずっと同じ仕事をしている。そして年功序列で給料が上っていく。日本は皆が痛みを伴わない、皆が快適な社会を保っていくことに、今まで心血を注いできた社会ではないでしょうか。ですからとても居心地が良いのです。

 ─ そこは米国で仕事をしていた経験から感じますか。

 田代 ええ。帰国して私が感じたことは本当に日本で年を取るということが居心地の良いことであるということです。清潔だし、安全だし、揉め事もないし、デフレですからね(笑)。高齢者にとっては良いことばかりではないでしょうか。しかし、高齢者にとって良い社会は、将来どうなるのでしょうか。

 最近は、元気なベンチャー企業も出てきていますし、日本社会も変わっていくと思います。その反面、既存の企業も意識改革を行う必要があります。企業の経営者が自分の会社の文化や価値観をいかに変えていくか。

 そこで私は男性とは違う特性を持っている女性が企業の価値観に風穴を開けるカギになると思っているのです。だからこそ女性がとても必要になってくる。男性だけでは気がつかないことを女性は気づくことができます。

 当社の事業であるゴルフ場の運営においても、男性には見えない改善点が女性には見えたりします。私は様々な女性たちのメンターを務めているのですが、「自分がおかしいと思ったことは声を上げる。それが会社のためになります」と言っています。女性たちが自信をもって声を上げられるようになるためには、同じような環境にいる女性たちのコミュニティを作ることも必要です。

 私は女性活躍を女性のために訴えているのではありません。日本企業が競争力を持ち、もっと良い社会となるために、女性たちには自分の可能性を信じてもっと踏み出して欲しい。男性たちにも女性たちを活用して会社の風土を変え、競争力のある会社にして欲しいと思っているのです。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事