金利上昇による プラスとマイナス
─ 保険の引き受けとともに、資産運用も大きな柱ですが、足元では日米の金利差などから来る「円安ショック」の状態になっています。この状況をどう認識していますか。
清水 運用に関して申し上げると、世界で金利が上昇する時に、その上昇の仕方は国、地域によって違います。しかも、日本の金利は、若干は上昇していますが、世界と比べると低いままです。
つまり金利差が拡大して、円安が進んでいます。金融環境、経済環境が様変わりをし、このことで運用は大きな影響を受けています。
─ 金利上昇の影響をどう見ますか。
清水 プラスとマイナスの両面があります。
グローバルに金利が上がっていくこと、日本も20年債、30年債でわずかながらイールドカーブ(利回り曲線)が立ってきているように、徐々に金利が上がってきていることは、投資対象の金利が上がるという意味で、長期的には上昇効果はプラスに働いてきます。
一方で、日米の金利差拡大によって、外貨建ての債券に対する円のヘッジをかけていますが、このヘッジコストがとてつもなく高くなっていることはマイナスの影響です。従って、全般的に今年の運用比率は厳しいというのが全体の状況です。
その中で具体的に何をやっているかというと、まずはどんな金融環境、経済環境にあっても、どんなに上下があっても変わらない運用方針が2つあります。
1つは資産配分です。資産配分は、その状況に関わらず長期的視野を持つこと。そして負債に合ったALM(Asset Liability Management=資産・負債の総合管理)運用をすること、そして資産、通貨、時間の分散です。
この長期的、ALM、分散の3つを基軸とする資産配分。これはどんな環境でも変わることなく持ち続けている方針です。
もう1つはフォワードルッキングな(先を見越した)リスク管理です。先々を見据えたリスク管理を徹底的にやっていくということ。この2つはどんな状況でも変わりません。
─ 厳しい状況ですが、ある意味で人材の「眼力」が鍛えられるということは言えそうですね。
清水 おっしゃる通りで、決して現状を悲観的には考えていません。むしろ、中長期的には人材を育てることにつながっていきます。短期的には、仕事としてはしんどいですが、このことによって人材が育つことで、運用の体制としては強くなると思っています。