2022-11-10

日本生命・清水博社長に直撃!「『健康で長生きしたい』というニーズは強い。ヘルスケアを新たな事業の柱に」

清水博・日本生命保険社長 



「ヘルスケア」を新たな事業の柱に

─ 今、どういった保険商品が選ばれていますか。

 清水 代表的な形としては、医療保険と、重大な疾病に対するニーズという2つのタイプが中心だと思います。

 一般的には、医療保険で幅広く病気や手術をカバーする。その上で、重度な疾病、例えばがん、脳卒中、心筋梗塞の三大疾病や、幅広い生活習慣病、肝臓や膵臓の疾患など、ご自身が心配なものをカバーする保険に入られるという形で、2つを組み合わせて加入される傾向が強くなっています。

 さらに重度な疾病に対する給付としては、先程申し上げた通り、軽い段階で治療をしたい、もしくは早期に発見をして治療をしたい、検査をしたいというニーズが高まっていますので、私どもも、この4月から、従来の三大疾病の保険・保障に加えて、早期発見・早期治療に役立つための給付金を備えた保険の販売を始めました。この商品はマーケット、お客様に受け入れられています。

 これからは、健康で長生きすることにいかに役立つような保険であるかが、重要な要素になってきます。これは若者からご高齢の方まで全員の方のニーズだと思います。

 ─ ヘルスケアというのは、近年の大きなキーワードですが、保険商品に加えて、コンサルティング機能も備えるようになっていますか。

清水 すでに2つの取り組みをしており、それらをまとめて、日本生命では「ヘルスケア事業」と呼んでいます。

 1つは「リスク予測サービス」です。健康増進サービスで企業、自治体と契約して、匿名のままで検診データ、治療データを頂戴します。それらのデータを我々で解析して、それぞれにどのようなリスクがあるのか、リスクの度合いがどう高いのかを段階的に診断するサービスを17年から続けています。

 現在までに約250万人のデータが集まっています。この中に、例えば糖尿病のなりやすさを数値化して、ABCDなどのランク分けをして、個人ごとにそれをお伝えするサービスも入っています。

 一方で、糖尿病のなりやすさだけを言われても、どうしたらいいのかというお声もありますから、糖尿病の予防サービス、血糖値のチェックプランという予防サービスを、有償でご提供しています。

─ 現在までの手応えはどうですか。

清水 事業を始めて5年ほど経ちますが、地に足のついた取り組みになってきたかなと感じています。

 リスクが起こった時に役立つ保険と、リスクそのものを予防する、減らすヘルスケアの2つは仲がいいですから、将来的には保険とヘルスケアを2つの柱にして、お客様にサービスを提供できる日本生命になればいいなと思います。

─ 医療機関との連携という要素は出てくるんですか。

清水 ええ。糖尿病の予防プログラムや、血糖値の変動チェックプラン、これをモニターする機械が必要になっていますが、様々な企業と提携してつくってもらい、それをお客様に装着してもらって、そのデータをご自身で見る。

 もしくはサービスの種類によっては、そのデータを同時に病院に飛ばして、その病院の看護師、保健師の方がデータを見て、定期的に電話やメールで「どんな食事を摂りましたか」、「どんな運動をしていますか」といった形で行動変容のアドバイスをしてもらっています。

 ご自身で数字を確認して、そして保健師の方に言われると「ちょっと習慣を変えてみようかな」となります。実際に試験実施の時から効果が出ることが確認できましたから、有償サービス化に踏み切ったということです。

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