2021-01-22

グーグル、アマゾンもゲーム事業に参入ーー日本のお家芸・ゲーム産業は今後も強さを発揮できるか? コーエーテクモホールディングス会長・襟川恵子氏の戦略とは

襟川恵子・コーエーテクモホールディングス会長

異業種のゲーム参入にどう対応するか?

 ── コーエーテクモホールディングス会長の襟川恵子さん、ゲーム業界はコロナ禍による「巣ごもり」で20年は活況でしたが、21年の見通しは?

 襟川 ゲーム業界は40年前、私がこの業界に入って以降、ずっと右肩上がりで成長しています。20年はコロナにより世界的に家でゲームをする人も多かったので、今期も高収益の企業が多いでしょう。

 当社は事業の内容が少し特殊で、ゲーム制作の一方でファイナンス、つまり、余剰資金の運用をして事業のバランスを取っています。中長期投資で30年以上の長期で保有している株式もありますし、資産の入れ替えをしながら益出しをしています。

 このような経営をしている会社は、他にないと証券業界の方々から聞いております。

 ── 家庭用ゲーム機では新型ハードも登場していますね。

 襟川 はい。日本はゲーム専用機で世界のトップ企業が2社あります。任天堂さんの「Switch」の売れ行きも絶好調で、ソニーさんの「PS5」は映像処理が高速で、ストレスがなく、新たな手法のゲームソフトが楽しめます。

 また今後、スマートフォンの通信規格も5Gになり、高速化します。そうなるとゲームの遊び方も変わり、セキュリティも含めて、ますますクラウドの役割が高まるでしょう。いま以上に皆さんに楽しんでいただけるゲームができるようになります。

 ただ、異業種からの参入もあり、競争は非常に厳しい。

 その中で生き残っていくためには、確固たる技術に支えられたコンテンツを持ちながら、常に速いスピードで新たなコンテンツを創発していかないと生き残れません。挑戦し、失敗しながらも成功に結び付けなければなりません。

 ── アマゾンやグーグルなどプラットフォーマーがクラウドゲームに参入していますね。この対応は?

 襟川 規模や技術以上に、個性的な、オリジナリティのある上質なゲームが求められています。我々であれば日本や東洋を土台に、誰も見たことも、聞いたこともないゲームで勝負していく。また、資本の論理で、莫大な資金を持つ企業は、ゲーム会社を買収したり、出資したりと競争は激しくなりますが、当社の強みは新作やシリーズタイトル、コラボタイトル、IP許諾と、重層的な利益構造を構築し、上向きのスパイラルを形成しています。社員教育に力点をおいていますので、恐れずおごらず堅実に経営していきます。

 ── 中国の台頭をどう見ていますか。

 襟川 中国はゲームタイトル一つで数千憶円を売り上げるケースもあります。ありがたいことに、弊社のゲーム『三国志』は中国でも大人気です。かつてはコピー品に苦しめられましたが、多くの人々が当社のゲームをプレーしたおかげで、絶大なるファン層がいます。また、著作権問題で手を尽くしてきたことで、中国も今は権利保護を重視してくれるようになりました。

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