2020-12-28

「キャッシュレス決済」の普及なるか? 日立が生体認証技術を開発

写真は活用イメージ

手ぶらでスマホも不要 日々の生活をもっと便利に



「鍵、スマートフォン、定期券、社員証、クレジットカードなど、われわれ現代人は様々な認証に支配される生活を送っている。何も持たず、手ぶらで日々の生活をもっと便利に豊かに暮らすことができれば」

 日立製作所金融デジタルイノベーション本部技師の真弓武行氏はこう語る。

『Suica(スイカ)』などの定期券で電車に乗り、会社に到着すれば、社員証で入館し、パソコンを立ち上げるためにログインする。仕事が終わった後も、スポーツジムに行けば受付でチェックインし、食事や買い物に行けばクレジットカードで支払いを済ませる……。

 知らず知らずのうちに、このような生活をしている人は多いだろう。そうした煩わしさから解放できるよう、日立が開発したのが、生体認証を活用して、キャッシュレス決済を実現するクラウドサービス『生体認証統合基盤サービス』だ。

 これは指の静脈や顔などの生体情報とクレジットカードなどの情報を一緒に登録すれば、カードやスマートフォンを取り出さなくても、指をかざすだけで決済が完了できる仕組み。日立の独自技術『PBI PublicBiometrics Infrastructure) 技術』を活用したもので、生体情報を暗号化することによって、仮に生体情報が漏えいしても復元できず、なりすましが防止できるという。

「いろいろ便利なサービスが出てくる中で、IDやパスワードが覚えきれない、スマートフォンやカードを忘れたら何もできない、生体認証を預けるのは不安といったことが利用者の本音ではないか。そうした人たちが、所持・暗記・入力といった作業に縛られる煩わしさから解放したい」(真弓氏)

 先行するNECを含め、生体認証技術は日本勢がリードする数少ない分野。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ニューノーマルでの行動様式が求められる中、非接触で衛生的な生体認証のニーズは拡大している。

 今後、コンビニやスーパー、病院など、様々な場所で活用できるようになれば、キャッシュレス決済の普及やチケットレスでの入場に弾みがつきそうだ。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事