2022-10-08

三井化学・淡輪敏会長に直撃!「当社の強みは技術。それを生かした機能製品にシフトして、収益の安定性を高めていく」

淡輪敏・三井化学会長



自社の強みをどう生かしていくか?

 ─ これまで機能性材料の開発にも取り組んできましたが、どういう成果が出ていますか。

 淡輪 私が社長に就任した時は非常に厳しい状況で、事業ポートフォリオ転換に取り組み、ヘルスケア、モビリティ、フード&パッケージングの3領域に経営資源を投入し、利益ウエイトを上げていくというコンセプトで取り組みました。今、橋本社長も2030年までの長期経営計画の中に織り込んで、それを具体化していくための投資も積極的に行っています。

 その成果は着実に出ています。06年の営業利益917億円を起点にしていますが、そこに占める3領域の利益は、当時34%でした。20年の営業利益は851億円でしたが、3領域の占める割合が79%まで来ていて、25年には2000億円という営業利益目標の中で、そこに占める割合を86%にすることをターゲットに置いています。

 機能製品にしっかりシフトして、業績安定性を高めていくというのが基本方針です。

 ─ 三井化学が持つ強みは何だと考えますか。

 淡輪 強みという部分では、やはり技術にあると思います。有機合成、精密合成技術をベースにした農薬、アミノ酸系の製品、レンズモノマーなどがありますし、ポリマー技術をベースにした世界的にユニークな機能樹脂を多く持っています。その品揃えが他社との差をつくることができる要因になっていると思っています。

 ─ 化学産業には今後も可能性がありそうですね。

 淡輪 そう思っています。非常に裾野が広い産業です。よく、日本の化学は小粒で、世界有数の企業に規模で見劣りすると言われ、だからこそ再編が必要なのだという議論もあります。

 そのことは、私もこれまでかなり検討をしてきましたからわかっていますが、規模が必要な事業と、そうでない事業とがあるはずです。やはり基礎的な部分は、ある規模がないと効率を追いかけられず、ダイナミックに展開できないという面があります。

 そうではなく、当社が強みを持つ機能性の製品群など特殊な素材は規模とは関係ありません。世界唯一の製品になりますから、そうした自分達の強みと、研究開発を継続しながら、それをいかに拡大、発展させていくかという視点で見ていくことが非常に大事だと思っています。

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