2022-10-08

三井化学・淡輪敏会長に直撃!「当社の強みは技術。それを生かした機能製品にシフトして、収益の安定性を高めていく」

淡輪敏・三井化学会長




石化再編をどう考える?

 ─ エチレンセンターの再編は古くて新しい課題ですが、日本の石化産業の今後も含めて、どう考えますか。

 淡輪 先程の経済安全保障とも絡んで、産業のベースとなるものは、ある程度競争力のある形で残していかなければいけないという問題は別にあります。
 ただ、個社によってエチレンクラッカーの位置づけが違いますから、これを十把一絡げにして「多過ぎるから減らそう」という単純な形では済みません。

 当社は付加価値の高い分野まで誘導品を展開していき、全体のバリューチェーンでしっかりとした利益が出るような形にしていくというのが基本的な考え方ですが、そうではない企業もいらっしゃいます。各社、生い立ちと発想が違うとあり方が違ってきます。

 ─ 一纏めにしての議論は難しいと。

 淡輪 そうです。これまでエチレン能力が過剰だという議論の中で、三菱ケミカルの鹿島で2基を1基に、三菱ケミカルと旭化成の水島で、やはり2基を1基にしています。

 また、千葉では丸善石油化学、住友化学、当社の合弁だった京葉エチレンは、当社が合弁から離脱し、住友化学が自社のクラッカーを止めて京葉エチレンからの調達に切り替えるという改革を行っています。
 ただ、今後は、どういう方法を取るか。千葉地区などは近接したクラッカーがありますので、地域連携としてカーボンニュートラルを含め議論が比較的しやすいという面はあります。

 また、エチレンクラッカーは稼働率が落ちると効率が大きく下がります。この効率を維持するという考え方も非常に大事です。他社も取り組んでいますが、当社も圧縮機の改善によって、70%まで稼働率が落ちても、生産効率が落ちないように設備投資を行っています。こうした個別の努力も、今後さらに必要になってくると思います。

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