2020-12-17

「グローバルでの成長を」NEC次期社長に森田副社長が昇格へ

新野隆NEC社長と握手する次期社長の森田隆之副社長(右)

長くM&Aや事業再編を主導してきた人物


「2016年の社長就任以来、収益構造の改革、成長の実現、実行力の改革の3つのテーマに注力してきた。来年度から始まる次期中期経営計画においては、成長の実現に向けた実行力が重要になる。豊富な経験、戦略性やけん引力に長けた森田隆之副社長こそが最もふさわしい人材であると判断した」と語るのは、NEC社長兼CEO(最高経営責任者)の新野隆氏。

 NECが2021年4月1日付で、副社長兼CFO(最高財務責任者)の森田氏が社長兼CEOに就任する人事を発表。理系出身者が続いてきたNECにあって、文系出身者の社長就任は珍しい。新野氏は代表権のある副会長に昇格する。

 森田氏は1960年大阪府出身。83年東京大学法学部卒業後、NEC入社。海外事業部からキャリアをスタートさせるなど、海外経験が長い。米国駐在時に独シーメンスの事業買収に関わって以降、半導体事業におけるルネサスエレクトロニクスとの合弁やパソコン事業でのレノボとの合弁設立など、長くM&A(合併・買収)や事業再編に関わってきた。

 NECは、10月にスイスの金融ソフト大手アバロクを約2300億円で買収することを発表するなど、ここ数年は欧州のIT企業の買収が相次いでいる。 森田氏はこれらの買収を主導。それだけに新野氏も「グローバルで成長するための核はできた。数字としての刈り取りは来年度以降になる」と、森田氏の実行力に期待している様子。

 森田氏は「営業利益率5%が見えてきて、やっと普通の会社になってきた。これから世界に伍していくため、デジタルガバメント、デジタルファイナンス、5G(次世代通信規格)、AI(人工知能)といった注力領域に特化して世界で戦い、日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)のリーディングカンパニーを目指す」と語る。

 2000年代以降は低迷が続き、人員削減や事業の切り離しが話題になることの多かったNEC。攻めの経営に転じた森田氏の次の一手は果たして……。

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