2021-01-05

大和ハウス工業・芳井敬一社長「コロナ禍で『住まい』や 『物流センター』が変化」

芳井敬一・大和ハウス工業社長

── リモートワークの浸透など、住宅のあり方も大きく変わろうとしています。大和ハウス工業社長の芳井敬一さん、21年の住宅市場の見通しは?

 芳井 20年は試練ではなく、いろんなことを見直せた良い年だったと思っています。住宅では展示場の果たす役割が大きく変わりましたし、なかなか進まなかったウェブ販売などにも切り替えることができました。

 また、19年10月の消費税増税とその後のコロナがダブルできても、住宅メーカーでは赤字決算は、ほぼ見受けられないという恵まれた業界です。いろいろな政策を打ってもらって支援いただいた。住宅業界は裾野が広いわけですから、その役割をどのように果たすかが21年のテーマだと思っています。

 ── 在宅勤務の普及で、どんな点を留意して新しい住宅を提案していますか。

 芳井 やはり部屋数が多い方がいいと言われます。例えば、都内のマンションに住む4人家族の場合、子ども部屋を自分の部屋のように使っていたりします。そう考えると、どうしても郊外型が注目されます。

 例えば、当社の米国の住宅会社によると、ワシントンDCで働く人たちの多くが郊外に家を求めています。ただ、これが起こるのは特定の地域だけです。これを踏まえると部屋数が多く、一部で遮音性の高い家が求められるだろうと思います。

 ── ネット時代の到来で物流センターが重要になります。

 芳井 ええ。巣ごもり需要で物流センターの市場はまだまだ伸びていくと思います。不景気が来たときに我々は物流事業をスタートしたのですが、不景気のときに物流用地として提供される場所が出てくるのです。そういうチャンスをしっかりと捉えていきたいと思っています。

 一方で今の物流センターはある意味ショールームに近く、デパートと同じになっています。段ボールもラベルも綺麗ですし、やはり手が掛かっている。それを意識したものを作っていかなければならないと思っています。

 ── 生き方・働き方改革に関わる仕事をやっていると。

 芳井 その意味では、21年は「ネオポリス」という古い団地で高齢化を楽しめるよう、団地を再度耕すプロジェクトに取り組みたいと思っています。

 ネオポリスは全国に約60カ所あるのですが、例えば神奈川の上郷にあるコンビニでは、住民の高校生と高齢者が2人で順番に接客をやっているんです。他にも住民の出会いの場所や触れ合いの場所もつくっています。

 物流センターのようにBtoBの会社のイメージが強くなっていますが、お客様に顔が見えるBtoCの個人のお客様にもしっかり向き合っていかなければならないと思っています。

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