2021-09-20

【45歳定年をどう考える?】若年層の働き方はすでに変化 Sansanの人材サービスに見る働き方の変化

『Eight Career Design』を利用する企業側が見られる候補者情報画面イメージ


転職の仕方も欧米流に

「Eightのユーザーは292万人ですが、そのうち20万人が1年でプロフィールが変わっています」(小川氏)

 Eightは個人向けの名刺管理アプリで、スマートフォンで名刺を撮影すると名刺情報をデジタル化して管理できるサービス。

 Eight上で“名刺交換”をしてつながると、アプリを通じて相手にメッセージや電話ができる他、相手の役職や部署が変わると通知が届く。

 また、役職の変更や自身のキャリアサマリーなどは、利用している本人が入力や更新をするため、基本、最新の情報が表示されるようになっている。

 これらのデータから、全ユーザー292万人のうち20万人のプロフィール情報が変わっていることがわかるわけだ。

 こうしたデータ結果を受け、「ユーザーをもっとサポートできるのではないか」と考えて「転職先を紹介する」Eight Career Designがスタートした。

 現在の労働市場は、転職を考えている人がリクルートやパーソルなどの転職サイトに登録してエージェントなどを通じて応募する形や、ビズリーチに登録して企業の人事部やヘッドハンターからスカウトを受けることなどが多い。

 これに対し、Eight Career Designは転職を考えていない“潜在層”かつ“現職で活躍している人材”に“企業が直接アプローチ”できるサービスだ。

 小川氏はこれを「“プロフェッショナルリクルーティング”として普及させていきたい」と語る。

 実は、Eight Career Designと似たサービスにマイクロソフトが2016年12月に買収した『LinkedIn』がある。リンクトインは約5億5000万人の登録ユーザーがいる世界最大のビジネスSNSで、海外ではダイレクトリクルーティングツールとして活用されている。

 ジョブ型雇用で解雇も当たり前の海外ではリンクトインで自らのスキルを公表したり、ネットワークを作ることがキャリアの上でも有効だが、終身雇用の日本では働き方の違いもあり、リンクトインは苦戦。日本でビジネスSNSといえば『Eight』が優位に立つ。

 Eight Career Designは、これまでに累計300社以上が利用。企業はEight上で募集要項を作成し、対象者を抽出、スカウトを送付するという流れ。Eightのユーザーは基本無料で利用でき、手数料は企業から徴収するビジネスモデルだ。

 サービスがうまく機能するにはユーザーが自身の略歴や技能を入力する必要があるが、「Eightは個人の人生に伴走するサービス。Eightにライフログを残すことで面接だけでは見えてこない、日常的な評価も見えてくる」(小川氏)と情報を入力するメリットを語る。

 名刺を通じたつながりは、個人の信頼や信用の可視化ともいえる。グローバル企業を中心に日本でもジョブ型が普及し、転職に抵抗のない若者が増えている。働き方が“会社主導”から“個人主導”になれば、Eightを通じた転職も増えていきそうだ。

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