2021-09-13

「ネット通販での不正被害を防げ!」『かっこ』が手掛ける不正検知サービスとは?

岩井裕之・かっこ社長



 EC事業者向けに不正注文検知サービス『O-PLUX(オープラックス)』を手掛けるのが同社。

同サービスを導入したEC事業者は、ユーザーから商品の注文が来ると、氏名や住所、どんな商品をいくらで購入したかなどのデータを『O-PLUX』に連携して、過去に不正がなかったかを照会。

 『O-PLUX』のシステムが、一つのパソコン端末から複数の名前で注文が来るとか、数秒前に北海道の人の名義で注文が来たのに、今度は沖縄の人の名義で注文が来るなどの怪しげなデータを分析することによって、きちんとした取引か、怪しい取引かを瞬時に分析していく。

 この解析時間はわずか0・5~1秒。岩井氏曰く、怪しい取引か否かを判別する精度は「現在90%超」と、不正取引の9割を未然に防いでいる。今後はできるだけ100%に近づけるための工夫が続く。

 最近多いのが、転売を目的としたフィギュアなどの取引。悪人が他人のクレジットカード情報を不正に入手し、その情報を元に商品を購入する。商品は自分の手元に届くが、決済は他人のカードから引き落とされるので、不正利用者はお金を払わずに済む。しかも、その後、不正に取得した商品を転売することで差額分を取得していく。こうした事例が増えているそうだ。

「フィギュアは転売価値が高く、最近はコロナで日本に来ることができない外国のコレクターなどからの需要も多い。それだけに不正注文が多いので、不正対策への需要はなくならない。ライブなどのチケットもかつてはリアルのダフ屋がいたが、最近はネット上のダフ屋が横行している。不正の手口も年々進化していくので、当社の役割も大きいと思う」(岩井氏)

『O-PLUX』は、すでにショッピングモールや健康食品、アパレル、ホームセンター、ホビーなど、幅広いジャンルのECサイトで活用。国内2万サイト超に導入されており、実績はナンバーワン。不正注文被害を未然に防ぐことで、ECの安全なインフラ構築に貢献している。

「日本は失われた30年などと言われているが、これから世の中がどんどんグローバル化していく中で、日本の存在感が低下するのは、日本人として悔しい。当社のビッグデータとアルゴリズムを活用することで、不正リスクを低減し、生産性を向上することができれば、もっと企業がリスクを恐れずにチャレンジできるし、結果として日本が復活できるのではないか。微力ながら、当社もデータの力で日本の活性化に貢献したい」と語る岩井氏。

 EC決済に関わる不正被害をいかに食い止めるか。岩井氏の挑戦はこれからも続く。

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