2021-06-17

日本ミシュランタイヤ・須藤元社長が語る「『タイヤ中心』から『タイヤ関連』へ」

1975年の発足から初となる日本人社長。「日本発のアイデアを世界に発信していきたい」と語る。仏に本社を置く世界最大のタイヤメーカーとして71製造拠点で2020年は約1億7千万本のタイヤを製造した。

 コロナ禍の影響を受けた自動車業界だったが、昨年の4―6月期を底に回復しつつある。中でもスポーツ多目的車を中心に「この数年でラインナップを3倍に増やした18㌅以上の大口径の製品が下支えしている」

 タイヤが活躍するのは乗用車だけではない。商用車、二輪、建設・農業機械、航空機用など多岐にわたる。そもそも同社製品が日本で最初に採用されたのは1964年の東京五輪直前に開通した「東京モノレール」で、82年に日本で最初にスタッドレスタイヤを販売したのも同社。

 自動車業界はCASEと呼ばれる変革期にあるが、電動化でソフトに比重が移れば「地面に接する唯一の部品として、タイヤが持つ安全性能の高さが益々求められてくる」と語る。

 1889年の創業から130年以上、「常にカスタマー・ファーストの視点で困り事を解決してきた。製品を通じて安全・環境に貢献することで利益が生まれ、その利益を開発に回してイノベーションを起こしていく」

 例えば、トラック・バス用タイヤにセンサーを取り付け、空気圧やタイヤ内の温度が基準外になると警報を発する管理システムは「熟練の専門家でなくてもタイムリーな点検ができる」ため人手不足の解消にもなる。

「パンクという概念をなくしたい」と期待を寄せるのがホイールと樹脂のスポークを一体化したエアレスタイヤ。パンク自体をなくし、空気充填や点検、廃棄物も減らす。「安全の担保が必須の自動運転車やシェアードカー(共有車)での利用が広がる」

 他にもタイヤの金型用に使う3Dメタルプリンターを研究施設がある群馬県太田市の製造業でも活用していく。「タイヤ中心からタイヤ関連へと事業の幅を広げていきたい」

 休日は読書・映画鑑賞・ゴルフの練習で汗を流す日々だ。

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