2021-05-02

【新しい教育のカタチ】角川ドワンゴ学園の卒業生が早慶始め東大、京大、海外の有名大学に続々入学

「一体感」をテーマにリアル・オンラインで開催した『令和 2年度N 高等学校卒業式』。会場内にAR 映像の桜を 準備して、生徒のコメントに合わせて桜が成長する演出も


職業体験、部活など課外授業を充実

「N高では他の学校では体験できないことを体験させてあげたい。職業体験で最初に打ち出したコンセプトも『リクナビに広告が出せず、消えゆこうとしているような伝統的な職業体験』。結局、生徒の人生を変えてなんぼだと思っている。生徒に届かない正しいことを言うよりも、限られた生徒でもいいので、人生を変えるきっかけを学校側が与えてあげたい。そう思ってカリキュラムを作っています」

 N高の授業は「ネット学習」「年5日程度のスクーリング」「テスト」で構成される。

 普通の高校よりも自由が多い分、職業体験や大学受験対策、プログラミングやWebデザイン、留学プログラムなど課外授業を豊富に用意している。

 また「起業部」や「投資部」「政治部」など部活動も充実。起業部からはすでに7つの法人が誕生。投資部では村上世彰氏、政治部では三浦瑠璃氏を特別顧問に招くなど力を入れる。

 だが、全ての生徒が意欲的なわけではない。

 クラスごとに担任の教師が付き、チャットツールのSlack でコミュニケーションを取っているが「担任の先生のクラスルームに、どれだけ生徒がコメントを返したか、数字を取っています。ネットを通じたコミュニケーションを活性化させていくかは毎年のテーマ」だ。

 また、コミュニケーションに参加しない生徒もいる。「学園生活は任意参加で強制するものではないので、面白いイベントや授業がありますよ、と生徒に紹介するところまでだと思っています。僕たちが最終的に担保するのは高校の卒業資格を取ること。単位認定が遅れている生徒に対しては電話を掛けるなどフォローしている」という。

 ネットの高校でもリアルの高校でも、どんな学校生活を送るかは生徒次第。また、高校の役目である「生徒を卒業させ、自立した社会人にすること」も変わらないというわけだ。

 だが、リアルの学校にどうしても劣るのが、身体的感覚がない中でコミュニケーション能力をどう身に付けるかということ。そこで、今年から教材に導入したのがVR。

 握手をしたり、肩を組んだり、キャッチボールをしたり、オンライン授業ではできなかった体験をできるようにする。

「通信制高校は、ITとネットを使った個別教育を提供する未来の教育のスタンダードだと思っている。だが、日本では既存の教育システムから外れてしまった人たちの学校というように、1段低く見られている。僕らは、むしろこれが学校の未来だと訴えて実践してきた」

 今年4月からは沖縄が拠点のN高に加え、筑波に拠点を置くS高もスタート。少子高齢化の中、規模を拡大させている。

 学校法人角川ドワンゴ学園は、N高、S高の他、ダブルスクールで通える『N中等部』、小1〜高3向けのプログラミング教室『N CodeLabo』を運営。

 また、ドワンゴでは受験アプリの『N 予備校』を提供。株式会社KADOKAWA の教育事業は「その他」事業に含まれるが、単年度ですでに黒字を達成。N高があることでバンタンのプロモーション費用を共通化できるなど、バンタンの収益向上にも寄与している。

 人財育成の重要性が言われながら、長年変わらなかった日本の教育。5年の実績を手に、名実ともに角川ドワンゴ学園が日本の教育を変えている。

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