2024-03-11

みずほ信託銀行・梅田圭が語る「金利が付く時代」の信託の役割、「資産を次世代につないでいく」

梅田圭・みずほ信託銀行社長




「PBR1倍割れ」企業にどう対処するか?

 さらに今、企業を巡る課題として注目されているのが「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」問題。東京証券取引所が23年3月末、上場企業に対して「資本コストと株価を意識した経営」を要請したことをきっかけに大きくクローズアップされた。

 また、東証がプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されたことで上場基準が従来よりも厳しくなった。この基準に未達な企業もあり、みずほ信託に対して、これらの企業から「企業価値向上のために何に取り組んだらいいか?」という相談が増えている。

「足元で、上場基準未達の企業や、PBR1倍割れの企業における株主に対する対応が課題となっている。ここは大きなビジネスチャンスだと思っている」

 みずほ信託は元々、企業の財務や税務を含めた企業向けコンサルティングを強みにしてきた。特に昨年度からは、例えばPBR1倍割れ企業に事業ポートフォリオ見直しを提案したり、株主との対話でどういう戦略を取るかといったコンサルに注力している。

 この領域では、スタートアップが持つデジタル技術も活用して、企業に対するコンサルティングを進めている。例えば顧客体験調査を手掛けるエモーションテックとの連携で株主アンケートを分析、個人株主が考える企業の改善点を把握し、IR活動に役立てるといった取り組みや、AI(人工知能)で企業の課題解決を手掛けるエクサウィザーズとは、生成AIを活用して、株主総会等の想定問答を自動生成するサービスを展開する。

「証券代行業務では、事務をしっかり手掛けることは当然として、そこに付加価値をいかに提供できるかが問われている。株主情報の高度化は大きなテーマ」

 今後に向けては、株主名簿情報、議決権行使やアンケートの結果、その会社が持つ経営資料などを生成AIで分析することで、株主との対話を向上させるという構想も持つ。

 デジタル技術を活用して、信託業務の高度化を図ることができるかが問われる。

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