2024-01-17

SAKIYOMI社長・石川侑輝「SNS業界のキーワードは『競争』でなく『共創』。誰もが自由に働ける環境づくりを」

石川侑輝・SAKIYOMI社長



ライバル企業ともコラボ

 ─ それだけユーザー側にSAKIYOMIが認知されているということですね。

 石川 そうですね。もちろん、運用代行ですからサービスの中身があまり社会に見えないのですが、例えば、検索バーでインスタから始まる言葉を入力すると、必ずと言っていいほど当社の社名が出てきます。インスタやユーチューブのことを勉強しようと思ったら必ず当社の名前が出てくるわけです。

 さらに言えば、この業界でもナンバー2の企業群がありますが、そういった企業群とも我々はコラボレーションしています。我々が主催者となって開催するイベントもあれば、そういった企業と連携して一緒にイベントを開催したりしています。

 ─ 囲い込むのではなく提携すると。この発想はどこから生まれてきたものですか。

 石川 SNSの根本的な考え方としてあるのが競い争う「競争」ではなく、共に創る「共創」の時代だという思想です。ライバル企業とは競合関係ではありますが、競争したところで、お互いのノウハウは遅かれ早かれ一瞬で知られてしまいます。

 もはやそういった時代なのです。だとしたら、自分たちのノウハウを隠して争ったところで意味がありません。健全な競争をしながら共にもっと良い未来を創っていくためにも手を組んだ方が、お互いの認知度をもっと高めることができます。

 ─ マーケットも広がる?

 石川 ええ。啓蒙活動は〝束になってやった方が良い〟に決まっています。コラボすることで他の企業群たちも我々の支援をしてくれます。その結果、我々の認知度もどんどん増していったと。インスタのリーディングカンパニーである当社がSNSの理念を発信してきたことで業界全体が変わっています。

 ─ 今後のネット社会におけるSAKIYOMIの役割について聞かせてください。

 石川 ネット社会のみならず、いわゆる社会では、SNSやネットの利点を生かした働き方の多様化が進み、働き方の選択肢も増えたと思います。ただ、選択肢が増えたことで正解が見えない部分も出てきています。良い点も悪い点もあると。

 その中で良い点は、キャリアや住まいに関係なく、どこでも働ける環境が整ったということです。例えば、地方のシングルマザーが自宅で子どもと触れ合いながら月に20万円の収入を稼ぐことができるようになっています。子どもを保育園に預けて仕事場まで行かなくても良くなっているわけです。

 ─ 一方で課題とは。

 石川 逆に〝選択肢が多過ぎる〟ので自分の立ち位置が分からず、軸足が定まらないという面があるのではないかと。誰かから評価を受けるわけではありませんので、自分で考えないといけませんからね。


託児所付きの働く場も整備

 ─ その中で働く選択肢が増えることはメリットですね。

 石川 はい。当社には業務委託のメンバーが300名以上おり、その3分の1くらいはワーキングママではないかと思います。稼働量やスキルに応じて5~15万円程度の月収があり、今日は30分、明日は3時間など自分の生活に合わせて自宅で働き、収入を得られます。他の仕事をする副業の人も多いです。

 例えば、これまでだと子どもが熱を出したら、その日は1日休まなければならないケースが多かったと思いますが、当社の仕事は休んだり、早退することは全く問題ありませんし、その分を皆でフォローする環境も整備されています。まさに〝共創〟という価値観があるんです。

 ─ 働き手の環境整備には今後も力を入れていくのか?

 石川 そうですね。ワーキングママたちにも、もっと働きやすい環境を提供したいと思っていまして、24年中には東京でワーキングスペースを設け、託児所を作りたいとも思っています。そうすれば、平日でも土日でも子どもを預けて仕事ができますし、同じような仕事をしている人たちとの意見交換や交流を深める場にできると思います。

 ─ SNSをどんな産業に育てていきたいですか。

 石川 SNSの業界でも自分らしく働ける環境をつくっていきたいと思っています。例えば、女性だけでなく学生も働けるような環境整備も1つです。

 当社のサービスミッションは「新たな挑戦に、成功体験を。」です。多様な人たちに多様な選択肢を提供したいと。この業界は、ようやく市民権を得たぐらいの産業です。しかし、もっと大きな潜在需要があることは間違いありません。世界ともつながれる利点を持っていますから。

 SNSに関連する業務を行っている当社のエコノミーの中では、いろいろな人とのつながりを持てる構造が少しずつ作り出されてきています。イベントなどで横のつながりができてコミュニティが形成されてくれば、そこで起業する人たちも出てくるのではないでしょうか。

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