2023-12-15

日本生命がニチイ学館を買収 介護分野など新事業開拓を急ぐ

日本生命が介護分野への参入を決断した(写真はイメージ)

介護事業は「避けて通れないマーケット」

 11月29日、日本生命保険は、介護業界最大手のニチイ学館を運営するニチイホールディングスの買収を発表した。金額は約2100億円。

 米ベインキャピタル保有のファンド、旧村上ファンド系のエフィッシモが保有するファンド、創業家など個人株主が間接保有するニチイHDの発行済み株式の99.6%を取得。

 日本生命は近年、新規事業として糖尿病予防サービスを立ち上げるなど、ヘルスケア事業に取り組んできた。今回の買収発表直前、社長の清水博氏は弊誌の取材に対し「子育て、介護といった分野に、より積極的に関わっていきたい」と意欲を見せていた。

 日本生命とニチイ学館は、1999年に子育て、介護などの分野で業務提携を結んだという間柄。日本生命関係者は、今回の買収の背景について「生命保険事業に親和性が高い分野を探していくと、社会課題としての介護にぶつかる。避けて通れないマーケットだった」と話す。

 介護分野の報酬は介護保険法によって上限が定められており、各施設は働く人の給与を簡単には上げられないという課題がある。今後、日本生命もこの問題に直面することになるが「我々が関わることで、処遇もよくしていきたい」(同)という考えを持っている。

 ただ、ニチイ学館には生命保険業の規制に合わない事業があることが予想されるため、その整理を含め今後、金融庁の認可に向けた詰めの作業を急ぐ。

 日本生命は24年度から新たな中期経営計画を打ち出す見通しだが、その中で生命保険事業に成長だけでなく、介護など非保険領域を絡めた成長戦略を打ち出すことが予想される。

 人口減で国内での生命保険事業の成長が危ぶまれる中、新規事業の開拓に意欲的だ。

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