2023-12-08

〈新経済圏構想〉J.フロント リテイリンググループが進める「金融を軸にした街づくり」

二之部守・JFRカード社長

店舗を核とした街づくり!



「百貨店やSC(ショッピングセンター)など、グループの違った屋号をつないでいくのが当社の役割。グループで地域社会との共生を大きなテーマとして掲げており、グループの商業施設だけではなく、近隣地域の飲食店やクリニック、ヘアサロンなどが将来ウィン・ウィンになるような形でポイントを活用していけたらいいと考えている」

 こう語るのは、JFRカード社長の二之部守氏。

 J.フロント リテイリング(JFR)傘下で決済・金融事業を担うJFRカード。地域と共に成長する「エリア戦略」を推進するJFRグループにあって、存在感が高まっているのがJFRカードだ。

 エリア戦略とは、大丸や松坂屋という百貨店にパルコやGINZA SIXなどのSCを抱えるJFRグループが目指す地域共存戦略。全国の店舗を核にエリアの魅力を最大化するための街づくりを通して、地域に〝賑わい〟をつくるというもの。

 現在は全国7つのエリア(札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)を中心に同戦略を推進。個々の店舗ではなく、地域全般が対象となるため、エリア全体で消費を促す仕掛けが必要で、それがJFRカードの発行するポイントになる。

 2021年から同社では、あらゆるクレジット決済でポイントが貯まる『QIRA(キラ)ポイント』を導入した。グループの大丸や松坂屋、パルコでポイントが貯まるだけでなく、グループ外の加盟店舗でカードを利用してもポイントが貯まるように加盟店舗を拡大。現在は検討中を含めて250店舗が加盟、カードユーザーの回遊性を高めようとしている。

 百貨店の会員がメインなので、一人当たりの利用額も大きい。加盟店の中には、売上が以前の2~3倍になったお店や集客が倍増したホテルもある。

「地域で加盟店を増やし、大丸や松坂屋のお客様を地域のお店に送客するためにポイントを導入した。ただ、加盟店を何万店に増やそうとは思っておらず、百貨店やSCなど、グループのアセットを使って、お金では換えられない体験を提供することができれば」(二之部氏)

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