2023-12-08

〈新経済圏構想〉J.フロント リテイリンググループが進める「金融を軸にした街づくり」

二之部守・JFRカード社長



 ポイントの活用法は人それぞれ。ポイントを貯めて、お得に買い物を楽しむ人もいれば、特別な体験と交換する人もいる。

 例えば、今年8月には大丸札幌店で、夏休みの思い出に子供たちの職業体験を開催。売り場での販売体験や百貨店のホスピタリティを学んでもらった。また、京都では宇治茶の老舗・福寿園京都本店に特別観覧席を設けて、抹茶とお菓子を味わいながら夏の京都の風物詩・祇園祭の「山鉾(やまほこ)巡行」を観覧できるようにし、好評だったという。

 大丸松坂屋カードの会員は百貨店を利用する50代が中心、パルコやGINZA SIXの会員は20~30代が中心。幅広い顧客層をいかに有機的にグループに取り込むかが課題となる中、「マルチブランドの商業施設や地域を新たな価値でつないでいくのが当社の役割」だと二之部氏は語る。

「客層の違いを強みにし、チャレンジできる会社でありたい。ポイントを媒介として、勝ちパターンを確立したいと考えていて、注力する7つのエリアで楽天やイオン、髙島屋のような一つのブランドで勝負できる会社には無い独自のビジネスモデルを構築したい」(二之部氏)

 独自のポイントを介して、店舗と顧客、そして、地域をつなぐ新たな街づくり戦略が功を奏することはできるか。生き残りをかけたJFRグループの新たな挑戦が続く。

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