NTTの「IOWN」構想に向けた専門部署も発足
現在、NTTグループは社運をかけて次世代光通信基盤構想『IOWN(アイオン)』の開発に注力している。半導体チップの信号処理を電気ではなく光で行う「光電融合」技術により、消費電力が従来の100分の1、通信速度が125倍になるという。スマートフォンの充電が1年に1回で済むというから、にわかには信じられない技術革新だが、NTTは2030年代の実現を目指している。
NTTは28年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画で約12兆円を投資。中でも、AIやロボットといった成長分野に8兆円を投じる予定で、その中核になるのがIOWNだ。
NTTデータでも、すでに「IOWN推進室」を設立。IOWNの社会実装を進めるための技術的な検証を行っており、同社には研究成果を顧客につなぎ、事業化に結びつける役割がある。また、NTTデータG全体で排出する温室効果ガスの約7割がデータセンターによるもので、今後はIOWNの持つ省エネ性能を活かし、同社の温室効果ガス削減もできそうだ。
「NTTが持っている世界トップレベルのR&D(研究開発)の力をどう生かしていくか。NTTデータGとしても、グローバルレベルで世界と連携してシナジー効果を発揮していきたいと考えている。その結果、2025年にグローバルトップ5という目標を達成することができれば」と語る本間氏。
全銀ネットの問題のように、基盤となる事業が揺らぐようでは、真のグローバル企業への挑戦権はおぼつかない。まずは原因究明と再発防止策を策定し、グループ再編のシナジーをいかに早く創出していくか。本間氏に求められる課題は多い。