2023-11-17

〈今や日本最大のIT企業〉NTTデータグループ・本間洋の「〝つくる力〟と〝つなぐ力〟の融合を」

本間洋・NTTデータグループ社長



金融機関、ベンダー それぞれの責任は?



 ただ、そうした矢先に起こったのが、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)のシステム障害問題。10月10~11日の2日間、銀行間の送金などを行う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」に障害が発生し、三菱UFJ銀行やりそな銀行など、10の金融機関で合計500万件を超える取引に影響が出た。

 1973年のシステム導入から初の障害発生となった今回の問題。全銀システムと各金融機関をつなぐ「中継コンピュータ(RC)」で不具合が発生したとのことだが、11月6日時点でまだ詳しい原因は分かっていない。

 RCは保守期限を迎える6年ごとに更新する。2029年までに24回に分けて更新を行う予定で、第一陣となった14の金融機関のうち10の金融機関で影響が出た。

 実は同システムの開発を行っているのはNTTデータ。全銀ネットは10月18日に記者会見を開き、理事長の辻松雄氏が謝罪した上で、NTTデータと共に不具合の原因究明と再発防止にあたると説明した。

 11月6日の会見で、本間氏は「深くおわび申し上げる」と陳謝。本間氏が総責任者となる「システム総点検タスクフォース」チームを立ち上げ、障害問題への本格的対処と再発防止に向けて取り組むとしている。

 NTTデータ以外のベンダーの開発事例も含めれば、今回の全銀ネットに限らず、これまでも東京証券取引所やみずほ銀行などでシステム障害は発生しているし、今後も起こるだろう。そうなった時に金融機関、ベンダーそれぞれの責任はどう考えるべきなのか?

 金融機関のシステム問題に詳しい静岡大学情報学部教授の遠藤正之氏は、「金融機関が全責任を負った上で、ベンダーに求償することはあるかもしれないが、他のシステム障害も含めて、対外的には金融機関に全責任がある」と指摘。

 その上で、これだけ大きなシステム変更の第一陣だったことから、各金融機関も利用客など、対外的にシステム更改に関する事前の報知があると印象も変わったのではないか、と語る。

「次期全銀システムでのオープン化も見据えた改革の中で発生した障害であるという視点が必要。大きな改革の初回は何らかのトラブルが出ることが多い。その意識がやや希薄だったのではないか。今後もシステムの組み換えが起こると障害が発生することは予想されるが、新技術の取り込みではそのようなチャレンジは必要であり、過度に障害を責めると、かえって保守的な発想から抜け出せなくなる」(遠藤氏)

 根本的な原因究明ができなければ、今後の更新でも同じような障害が発生する可能性はあるだけに、全銀ネット、NTTデータ、両社の責任は重い。


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