2023-11-01

大和ハウス工業・芳井敬一の「『何が世の中の役に立つか』の創業精神で」

芳井敬一・大和ハウス工業社長




政府も住宅団地再生に取り組む中で…

 政府でも国土交通省が『住宅団地再生』連絡会議を設立(2017年1月)。これは、住宅団地の再生・転換の方策について、先進事例の研究や調査、そして意見交換をしようという趣旨で結成されたもの。

 この連絡会議には、民間企業(鉄道、不動産、住宅、建設、金融など)の66団体、地方公共団体などの行政関連の210団体の計276団体が参加している。

 大和ハウス工業もオブザーバーとして参加し、自分たちの取り組みを踏まえて、団地再生への提案を行っている。

 かつて、大和ハウス工業のグループ会社に、『大和団地』という兄弟会社があった。当時の東証・大証・名証の1部に株式を上場していた会社だが、2001年に大和ハウス工業が吸収合併したという歴史。

 旧大和団地は、大和ハウス工業の住宅造成部門が分離独立(1961)して発足、大規模団地の開発や住宅・マンション、都市開発、ゴルフリゾート、土木コンサルティングなどを手がけていた。『ネオポリス』というブランドで宅地開発を進め、中でも大阪府南東部の郊外住宅地、『羽曳野ネオポリス』などは有名で、他にも大阪北部の『阪急北ネオポリス』は全国最大級の団地として知られている。

 主に高度成長時代に造成されたこれらの住宅団地では『超高齢社会』を迎え、〝独居老人〟も増加。介護などのニーズにどう応えていくか、また買い物をする時の足の便をどう確保するかといった問題を抱える。

 団地再生は今、我が国の重要な社会課題の1つ。先述の『住宅団地再生』連絡会議には、東京大学・高齢社会総合研究機構の教授なども会議運営の責任者として参加している。こうした専門家による団地再生の議論の中で、大和ハウス工業の『ネオポリス』再生も題材として取り扱われている。

 再生への手応えはどうか?


創業の原点に立ち返って住宅団地の再生、転換を

 同社が造成を手がけた団地は61か所。このうち、8か所で再生が本格的に進み、「手応えを感じている」と芳井氏は次のように続ける。

「今年(2023年)は2か所増やして(再生作業は)10か所でやっているんですが、特にこの8か所に関して言うと、手応えのある所が多くなってきました」。

 こうした団地再生が比較的うまく行く所は、行政が熱心に取り組んでいる所が多い。そうした行政や大学の専門家とも連携を進め、「わたしたちの再生のケースも活用しながら、行動していきたい」と芳井氏はその方向性を語る。

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