2023-09-13

【コアコンセプト・テクノロジー】 金子武史社長CEOが語る「IT業界を輸出産業に変えたい!」

金子武史 コアコンセプト・テクノロジー社長CEO



地方のIT人材の活用へ

 ─ IT人材調達支援の事業について聞かせてください。

 金子 当社で受注した大型の案件に対して、地方のIT企業へも参画のご案内をするようにしています。IT業界においても、地方は東京首都圏に比べ仕事も限られ、単価もかなり下がってしまうのですが、当社からは相対的に高い金額で案件をご紹介するのです。

 その代わり、当社の付加価値の高い仕事をお願いするわけですから、何としても食らいついてきていただかなければなりません。それは地方のIT企業自身のバリューアップの入口にもなります。

 日本全体で約110万人のIT人材がいると言われていますが、そのうちのおよそ半分は下請の中小企業、そして地方にいます。彼らにもっと活躍の場、成長の場を提供したい。

 IT業界は人手不足といわれる業界ですが、中小企業や地方には人材はまだまだいるのです。その方々が成長し、自身の価値を引き上げていければ、日本はもっと産業の活性化を図れると思っています。

 ─ その思想に共感するIT企業がグループに入って来ているということですか。

 金子 そうです。そういう思いを持っている経営者は多いです。地方のIT業界は閉塞感に包まれています。それに対する突破口を当社が提供すると。

 当社はDX関連の付加価値の高い仕事を請け負っていますが、地方のIT企業がそういった仕事を自ら獲得するのは難しい。そこは当社がやりますと。その代わりに「寝た子を起こす」ではありませんが、地方に眠っているITエンジニアの力を呼び起こしたいということです。

 ─ ということは、農業や観光といった地方産業にも絡んでいく可能性がありますか。

 金子 はい。将来、関わっていく可能性があります。私はIT業界をいずれ輸出産業に変えていけないかと考えています。ですから、地方のITエンジニアの価値を引き上げながら総動員し、海外にも打って出たいと考えているのです。

 日本の産業の中でも、元気が良いIT産業が世界の発展に貢献できれば外貨の獲得にもつながります。そうすれば、当社が基点となって地方にもお金を流すことができます。今は日本での経済の環流装置が輸出産業しかありませんが、IT産業もそれになれると思うのです。

 当社が海外から仕事を取ってきて地方に流し、地方を活性化する。その先には日本がもう一度復興できる未来をつくれるのではないかと。地方には国宝や文化財などがたくさんありますから、米・シリコンバレーにある大企業を九州などに誘致することも可能だと思うのです。


インクスでの経験が生きている

 ─ 日本ではなぜGAFAM(グーグル・アマゾン・フェイスブック(現メタ)、アップル・マイクロソフト)が育たないのかと言われますが。

 金子 社会全体の仕組みの問題もあると思います。システム開発を手掛けるIT産業でも世界に打って出るメガITベンチャーが育っていません。長い間、日本の大手SIer(システム開発会社)の銘柄が大きく変わっていないのもその証拠です。

 このIT業界にも大手が有利な構造はあるため、ベンチャーの身で、大手SIerと直接競合するのは得策ではありません。というより、直接ぶつかったらひとたまりもない。

 彼らが押さえていない市場はどこか。それは、人材としての地方、そして事業としての海外です。ですから、当社としては売上高300~500億円ほどの規模になったときには海外に打って出ようと思っています。それも見据えつつ、今は地方を押さえているというわけです。

 ─ 金子さんは製造業向けDXを手掛けていたインクス(現SOLIZE)出身ですね。

 金子 はい。2000年に新卒で入りました。スマートファクトリー、工場の自動化など、ベテランの暗黙知を形式知に置き換えてアルゴリズムで再現するようなプロジェクトに携わりました。ここでの経験が今の自分に大きな影響を与えました。

 残念ながら当時のインクスは民事再生の適用を受けましたが、今でもインクスの事業コンセプトは輝かしいものがあったと思っています。

 顧客の競争力創出と共に産業の未来をもより良いものにしていく、そのために高度な技術力を持ち、世の中に活かすべく取り組む。こういったインクスで学ばせていただいたDNAを発展させて、これからも価値生成、価値貢献できる存在でありたいと思っています。

 ─ 常に挑戦する思いはどういう思想から来ますか。

 金子 そうですね。現実世界は、自分たち次第で変えていけるものだと思っているからかもしれません。

 だから、よりよい未来にしていける取り組み=挑戦は、ワクワクしますし、やりがいを感じます。そう考えると、思想という高尚なものではなく、本能としてそういう活動が好きなだけかもしれませんね。

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