コロナ後のオフィスが持つ価値とは何か
─ オフィスはリアルとリモートのハイブリッドを模索する企業も多いですが、現状をどう見ていますか。
伊達 日本は7割くらいがオフィスに戻ってきていると言われています。また、今、消費意欲が強く、47兆円もの貯蓄を活用して皆さんが消費する中で、イベントなど「外」に向かっているのが日本の状況です。その状況下で、7割出社からさらに増えるのか、ハイブリッドが進むのかは見ていくべき点だと思います。
─ 対面であることのメリット、効能は?
伊達 対面の中で生まれる、実務的な報告だけではないプラスアルファのニュアンス、情報があると思います。そこで様々な判断など、何かが生まれるということは必ずあると思います。
実際、我々も徐々にテレワークからオフィスに復帰して現在に至りますが、私の個人的感覚でも、コミュニケーションソフトを使って情報交換は十分にできていたものの、徐々に生産性が悪くなっていたと感じました。
どうしても「活字のるつぼ」になるといいますか、やり取りに時間がかかるなという印象がありました。直接会って、すぐに解決する方が早いと思っています。当社の出社率は7割で、週に1.5日までテレワーク可という形にしています。
─ 今年5月には本社を「東京ワールドゲート」に移転しましたね。働き方は変わりましたか。
伊達 私自身としてはハイブリッドワークという新たな働き方を反映した快適な空間ができたと感じています。私の執務室からは比較的全体が見える状態になっているんです。
デザインやレイアウトも、緑、家具、照明、座席の配置など、程よく分散しています。例えば、ある時、オフィス内を歩いていたら、立ったまま会議ができるスペースで集まって話しているグループがいたのですが、見ると私がチャットで指摘したことを話し合っている最中でした。私がたまたま通りかかっただけですが、これは直接話した方が早いなと思い、その場でリアル会議を始め、すぐに解決しました。オープンな空間だからこそできたと思います。
本社を移転すると、やはり雰囲気は変わりますね。フリーアドレスのメリット、デメリットはありますが、他の部署の人と話す機会が増えるという効果もあったようです。
ワンフロアになったという効果もあります。旧本社では5フロアに分かれていましたから、それぞれのフロアを移動するのは難しかったですが、ワンフロアになることでお互いに行き来しやすくなりました。