2023-08-05

【厚生労働省】資格確認書、全員配布も検討 マイナ保険証で方針転換

マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」を持たない人に発行する「資格確認書」について、政府は本人の申請に基づいて発行する原則を見直し、申請なしでも交付する方針を決めた。

 そもそも資格確認書は申請が難しい高齢者らを念頭に苦肉の策として導入を決めたが、厚生労働省のある幹部は「保険料を払っているのに保険診療が受けられない事態は避けるべき」と指摘。高齢者らに限定せず、マイナ保険証を所持していない人全員を対象に幅広く交付することも含め検討する考えだ。

 現行の健康保険証は2024年秋に廃止され、マイナ保険証に切り替わる。25年秋までの猶予期間はあるが、24年秋からはカードを紛失した人や高齢者、子どもら申請が困難な人を対象に資格確認書を発行する。

 資格確認書は本人の申請に基づき、健康保険組合など保険者から交付されるのが原則だ。有効期限は1年で毎年更新手続きが必要となる。与党内でも申請が困難な人への対応強化を求める声が出ていたが、マイナンバー制度を巡る相次ぐトラブルを受け国民の不信感が高まり、自主返納する動きも拡大。さらにカードの不所持などを理由に保険診療が受けられない事態となれば、制度への不信感がさらに高まる懸念がある。

 このため、政府内でも「保険診療を受けられない人をなくすには対象を選別せず、積極的に配布するしかない」(関係者)として、資格確認書制度の前向きに活用に対する意見が広がりつつある。

 政府は高齢者施設での実態やカード全体の普及状況を踏まえて判断する考えだが、マイナ保険証を持たない人に一律に資格確認書を配る場合、対象者の把握や交付に向けた地方自治体などの事務作業が膨大になる可能性もある。このため、年内にも一定の方向性を打ち出すことを目指し、検討を急ぐ方針だ。

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