─ 目標がないということですね。
森本 目標がないのか、自分でどうやって生きていけばいいのか、分からない人がたくさんいると思うんです。
日本では、米国のシリコンバレーのように若い時に苦しんでも、自分で起業して、絶対にビジネスを成功させていくんだ、という意欲や気概を持った人が少ないですね。そういう意欲が無いから、夕方になると友人と飲みに行って、恋人を探しつつ、若い時代の時間が終わってしまう。こういう人が社会の中に出てきても、社会はそういう人を必要としません。
要するに、何か問題が起こった時に、ここで我慢して、自分も改善しようと考えたり、上司を相手に論争をして解決策を考えたりしない。問題が起こるのは他人のせいで、こいつは嫌な奴だなということで終わる。
本来、若い人は自分で人生の目標をきちんと定め、必死になって目標に向かって努力するまで、飲んだり、遊んだりする時間はないはずだと思います。しかも、親は子供がどこか有名な会社に就職するとすごく安心してしまう。逆に、「自分で生きていきます」と言って起業する道を選ぼうとすると、ものすごく反対するわけです。
それが親心なのか、将来がどうなるか分からないのに何をするのかと説教をする。しかし、わたしは人生を切り拓くのは、そういう人しかできないと思うんですね。
─ そういう状況下、日本の再生はどこから手を付けていけばいいのか。
森本 やはり、わたしは学生の時に、本当にモノを考えるというか、モノを考えて生きていくというトレーニングをきちんとして、社会に出さないとダメだと思います。
学校の授業でも宿題を出すとキーワードを使ってネットから探してきて、貼り付けるだけの文章が本当に多いです。これでは全然自分で考えていないし、考える力も身につかない。だから、問題解決能力も生まれてこないわけです。
これから不確実な世の中になって来た時に必要なことは、真の問題解決能力です。わたしは日本の今後を考える上で、それを育むための教育が必要だと思います。