2023-07-10

地政学リスクのある中、フェローテックHDが打ち出す「地産地消」戦略

賀賢漢・フェローテックホールディングス社長グループCEO

ニッチトップ製品が多いことが同社の強み



「半導体はエレクトロニクスや自動車など、あらゆる産業に不可欠。当社は半導体製造装置関連や電子デバイスなど、いろいろな材料やトップシェア製品を幅広く取り扱っており、これからも成長が期待できる」

 こう語るのは、フェローテックホールディングス(HD)社長グループCEO(最高経営責任者)の賀 賢漢(が・けんかん)氏。

 半導体関連を中核とし、様々な電子デバイスや産業機器を手掛けるフェローテックHD。主に半導体製造装置関連と電子デバイスの2つの事業で構成され、売上の6割以上を占めるのが半導体製造装置関連事業。

 中でも主力製品となっているのが、世界シェア65%で不純物の無い密閉空間を確保するための真空シール。この他、世界シェア80%の磁性流体(磁力に反応する液体)や同36%のサーモモジュール(半導体冷熱素子)など、市場規模は小さくとも高いシェアを誇るニッチトップ製品が多いことが同社の強みになっている。

「半導体業界は採用されるまでが難しいが、一度認められると、お客さんはそんなに取引先を変えることはない。他社より先に市場に参入し、よく市場を分析して、お客さんと共に開発の用途を考えながら、ここまで来た。こうした強みは一朝一夕にできるものではない」(賀氏)

 2023年3月期の連結業績は、売上高2108億円(前年同期比57.5%増)、営業利益350億円(同55.1%増)、純利益297億円(同11.4%増)。売上高、営業利益は過去最高を更新した。

 コロナ禍の巣ごもり需要で、パソコンの買い替えやデータサーバー・「5G通信」基地局への投資が進み、中国、韓国、台湾を中心に半導体関連企業の設備投資が拡大。半導体製造装置向けの治具・消耗材として使用されるマテリアル製品(石英製品・セラミックス製品・シリコンパーツ等)、部品洗浄、パワー半導体基板などの事業が好調だった。

 同社は1980年に米フェローフルイディクス社の子会社として日本に設立されたのが始まり。真空シールや磁性流体の輸入販売を手掛けていたが、87年に米国親会社から独立。国内に工場を建て、92年に中国へ進出した。ここから世界展開を加速し、現在は中国に11拠点、米国、ドイツ、台湾、マレーシアなど合計25の海外拠点がある。

「この30年、マーケティングやR&D(研究開発)は米国、生産技術が得意な日本、量産展開の中国と、製造と販売のバランスを考えながら、世界中に拠点をつくってきた」(賀氏)


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