2021-03-01

国際石油開発帝石が社名をINPEXに変更へ

上田隆之 国際石油開発帝石社長

「原油価格の大幅な下落に伴い、1899億円の減損損失などを計上し、厳しい結果となった。ただ、足元の原油価格は一定の回復を見せており、2021年度の業績は1千億円の黒字を予想している」

 こう語るのは、国際石油開発帝石社長の上田隆之氏。

 同社が2020年12月期の連結業績を発表。売上高7710億円(前年同期比34・2%減)、1116億円の最終赤字を計上した。米石油メジャーのエクソンモービルも同期に40年ぶりの赤字転落となったが、両社に共通しているのは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う原油価格の下落と資産の評価損だ。

 昨年1月に1㌭=60㌦を超える水準だった原油価格は、4月に20ドルを割り込み、一時は米原油先物が史上初のマイナス価格を付けるなど、市場が大混乱。ただ、8月くらいから徐々に価格が戻り始め、今年2月15日現在は1㌭=60㌦台で推移しており、21年度は最終利益1千億円となる見通しだ。

 一方、同社は2050年の“ネットゼロカーボン社会”を目指すことを発表。石油に比べてCO2(二酸化炭素)排出量の少ないLNG(液化天然ガス)の活用を進めるため、稼働中の豪イクシス・プロジェクトに加え、今後はインドネシアでもアバディ・プロジェクトを推進。地熱発電や洋上風力などの開発も進めていく方針だ。

「天然ガスシフトを進め、国内及び成長市場であるアジアにおけるグローバルガスバリューチェーンの拡大に向けた取組を継続、強化する。また、上流事業で発生するCO2を貯留していくことに加え、中長期的な水素社会の到来を見据え、水素の製造・供給を図っていく」(上田氏)

 また、4月からは、海外で広く浸透しているという観点から、社名を「INPEX」に変更。

「国内外に多様なエネルギーをよりクリーンな形で安定的に供給することで、ネットゼロカーボン社会に向けた変化に積極的に対応していく」(上田氏)

 世界は脱炭素へ向けて一気に舵を切った。そうした時流に遅れないよう、再生可能エネルギーの開発など、事業ポートフォリオの変換を急ぐ同社である。

 

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