2023-06-23

グループ再編にひと段落の日立が『Lumada』事業を5割以上に

IT・OT・プロダクトで社会イノベーション事業を強化



「テクノロジーとビジネスモデルを革新し続けることで、他社にない社会イノベーション事業の強みを創る」と語るのは、日立製作所社長兼CEO(最高経営責任者)の小島啓二氏。

 日立が投資家向けの説明会を実施。デジタル・グリーン・コネクティブの3分野を成長領域に位置づけ、自社のIoT(モノのインターネット)プラットフォーム『Lumada(ルマーダ)』事業を将来的にグループ全体の5割以上に高めると宣言した。

 近年、ハードウェア(プロダクト)からソフトウェア(デジタル技術を核としたサービスビジネス)に経営の軸足を移している日立。日立が持つITとOT(Operational Technology)、プロダクトを掛け合わせることによって、社会イノベーション事業を強化しようとしている。

 その中で、特に同社が成長エンジンに位置づけるのがルマーダ事業。プロダクト機器を単に売るだけでなく、データを生かしたソフトウェアをパッケージで提供することで収益性の向上につなげるのが狙いだ。

 すでに日立はルマーダを通じて、日立ハイテクの半導体製造装置における生産計画の自動立案を実現。この1年間でAI(人工知能)を活用し、計画時間を従来の約5分の1に短縮することができたという。

 2022年度のルマーダ事業の売上収益は1兆9600億円。グループ全体で26%のルマーダ事業比率を24年度に33%まで増やし、将来的にはルマーダ事業を全社売上の過半を占めるまで伸ばすことで、全社利益創出の中心にしようとしている。

 副社長CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は「ルマーダが成長のドライバー。ルマーダ事業の売上成長率15~20%はほぼ射程に入っている。ルマーダの利益水準は他事業より高いので、必然的に日立全体の収益力も上がってくる」と語る。

 ルマーダとの相乗効果が見込めない事業を切り離し、グループの再編がひと段落した日立だが、世界を見渡せばシーメンスやアクセンチュアなどのライバルが立ちはだかる。GE(ゼネラル・エレクトリック)も巻き返しを図っており、今後は更なる改革スピードが求められる。

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