真のデジタル監査とは?
─ 対面などのリアルの良さとは、どんな点ですか。
井野 目が合ったコミュニケーションの方が、理解や共感は深まるのではないでしょうか。対面の場で行う質疑は、自然に相手に集中しているので質が違う。一方でオンラインでは、どれだけ環境を整えたとしても集中し切れない部分があると思います。
─ 表情を細かく汲み取れないという声もありますね。
井野 はい。ですから、オンラインでは喜怒哀楽を共有して生まれるいろいろな理解の深まりというものには辿り着けないと思います。もちろん、平時は良いと思います。平時の情報共有はオンラインをどんどん使っていく方が好ましいでしょう。
一度に多くの人が参加できますし、グローバルですぐにつながることもできます。しかし、際に迫るような議論をするときに、どういう思いで物事を進めてきたのかといったものを理解するときには、対面でないと理解ができないと思います。
─ 特に経営者との対話は対面の方が好ましい気がします。
井野 その通りです。ようやくアフターコロナの段階に入って対面の制限がなくなって良かったと思います。そういう重要な業務にきちんと時間を割いていくべきだと思いますね。
─ 医療法人の監査については、いかがでしたか?
井野 コロナ禍では企業のみならず医療法人も経営は大変苦しかったと認識しています。コロナ対応で様々なコストが上がりましたが、医療法人にとっては診療報酬がポイント制で一定程度の補助金はあったと思いますが、かなりの医療法人が赤字経営を余儀なくされました。
財務的に厳しい経営を強いられている上に、医療機関で働いている方々の気持ちを前向きにさせることも特に大変だったのではないでしょうか。社会を回すためのエッセンシャルワーカーとして、いろいろな職種に光が当たったと思いますが、医療従事者はウイルスが蔓延する最先端で闘っていたわけですから。