2023-06-14

ロイヤルホールディングス会長・菊地唯夫「第4次産業革命であるデジタル革命でサービス産業はすごく面白くなる!」

菊地唯夫・ロイヤルホールディングス会長



4つの方向性を描く

 ─ 要は、人を惹きつける目的をいかにつくるかですね。

 菊地 ええ。そして3つ目はリスク分散をポートフォリオ上で見るのではなく、もっと顧客志向になって考えるということです。グループが一体になることによって、もっとお客様に対して良いサービスができるのではないか。そこでグループCRM(顧客管理システム)をつくり、お客様の情報を一元管理することで、より良いサービスにつなげようと動いています。

 最後の4つ目はポートフォリオをグローバル化させることです。海外はコロナのインパクトも国によって違いますから、ポートフォリオをもっと立体的にすることができるはずです。この4つが我々のやるべきことではないかと考えています。

 ─ 人流に依存しないビジネスは探せばたくさんあると。

 菊地 もちろんです。コロナ禍でもスーパーマーケットは苦労していませんでした。外食市場は約26兆円に対し、中食が約10兆円、内食が約35兆円です。コロナによって外食は痛みましたが、それは食べる量が減ったわけではなく、他に移っただけです。家で食べるのであれば冷凍食品を提供すればよいと。そういった組み合わせをつくるのが大きな狙いです。

 ─ 改めて菊地さんが考える外食の存在意義とは。

 菊地 はい。コロナで私が考えたのは外食に存在意義があるかどうかということでした。コロナ禍で一時的に全てがオンラインになり、人々の行動が制約された社会になりました。

 でも、やはり自由がいいと。家族や恋人と一緒に食事をするということは社会の潤滑油になります。私はここに外食の存在意義があるのではないかと思いました。

 レストランとホスピタリティ─。この2つの言葉は我々が大事にしている言葉なのですが、レストランとは語源がフランス語で「レストレール」という「体を回復させる」という意味となり、ホスピタリティは「ホスピス」というラテン語が語源で「介護する」「看護する」という意味です。つまり、いずれの言葉も「癒やす」「回復させる」という意味になります。

 コロナは社会を分断し、人を分断し、いろいろなところで軋轢を生みました。しかし人間は社会的動物ですから信頼関係が必要です。コロナが明けたときには、必ず信頼関係を最高潮にする動きが出てくるはずです。そのときにレストランやホスピタリティというものの存在意義が脚光を浴びるはずです。

 ─ まさに存在意義ですね。

 菊地 最近ではビジョンと言わず、パーパスと言うようになっていますね。これは持論になりますが、ビジョンとは1兆円の売り上げを実現するために1000店舗を目指し、規模を大きくしていく世界でした。

 資本主義は、本来有限が前提なのですが、いつの頃からか資源、市場、環境は無限だということを前提にしてしまっていたのです。ここにきて資源も、環境も有限だと気付き、そうすると、ビジョンが空虚なものに感じられるようになり、有限の中で自分たちの存在意義は何なのかを問い始めた。それがパーパスになったと。ですから、表面の話ではなく、もっと深く本質を考えなければならなくなったのです。

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