ポートフォリオの進化
─ 厳しいコロナ禍も徐々に落ち着いてきています。今後の戦略はどう描いていますか。
菊地 我々はいろいろな事業を営むことによってリスクを最小化してきました。事業を分散していたのです。ただ各事業には波があります。外食であれば「ちょい高ブーム」があったり、「低価格ブーム」がある。高速道路でもガソリン安で人がたくさん動くこともあれば、ガソリンが高くなることもあります。
各事業領域で個別の波があっても、我々がリスクをヘッジできたのは複数の事業を組み合わせることができたからです。ところがコロナ禍では、全てが打撃を受けました。外食も空港・高速道路の飲食店を手掛けるコントラクトも機内食もホテルも全てがやられてしまったと。
これは何を意味していたかというと、実はリスクを分散しているようで分散していなかったということです。根本的なリスクは一緒だったわけです。人流依存だったということです。
─ 人に依存しないビジネスを考える必要が出てきたのだと。具体的には?
菊地 いま我々がやるべきことはポートフォリオを進化させることです。その方向性として私の頭の中には4つあります。
1つ目は人流に依存しないビジネスを育てることです。その取り組みとして冷凍食品の「ロイヤルデリ」があり、テイクアウトやデリバリーに強みを持つフライドチキンの「ラッキーロッキーチキン」があります。
2つ目は構成を変えず、1事業ごとにレジリエンス(強靭性)を高めていくことです。空港や高速道路の飲食店などコントラクト事業は立ち寄り型が多く、ホテルも旅行が目的で、その際に泊まる場所です。立ち寄り型は目的を持っていないから弱いわけです。
そこで各事業に目的を持たせようと。例えば東京・押上のホテルではサウナ付きの客室など、コンセプトルームを展開しています。要はそこを目的に来てもらう体験型ホテルをつくったということです。