2023-06-20

ロッテホールディングス社長・玉塚元一「資本力も含めて日韓で協業してグローバル展開していく取り組みは始まっています」

玉塚元一・ロッテホールディングス社長



北米では日韓でJV設立

 ─ ベンチャーのレベルでも歴史的な対立はないと。

 玉塚 そうです。それからコンシューマープロダクトでも化粧品やKフード(韓国料理)、ユニクロを見ても、コンシューマーに近いところのプロダクトラインは問題ないと思います。

 その点、ロッテグループとしては、もう少しBtoBの戦略的な素材や半導体関連といった辺の領域でどんな取り組みができるかがポイントになってくると思っているんです。ロッテグループの中では、どんなレイヤーであろうが、全てのレイヤーで日韓の連携を強化していきます。

 これまでは政治レイヤーが壊滅的でした。しかしここにきておっしゃるとおり、尹大統領のリーダーシップで急速に流れは変わっています。この流れの変化は我々にとっても非常に大きい。サムスンが横浜に半導体の開発拠点をつくるといった話題も出てくるようになりました。

 こういった流れが徐々に増えてくれば、一気にコーポレーションレベルや大企業レイヤーでも様々な取り組みが始まってくるのではないでしょうか。

 ─ ある意味で可能性を秘めた展開ができるわけですね。

 玉塚 そういうことです。ただ日本と韓国では意思決定のスピードが大きく違います。韓国の方々の意思決定のスピード感や仕事の進め方はミクロレベルでものすごく速い。

 トップダウン型で一気に進めていくといった形ですが、日本はどちらかというと、いわゆるコンセンサスベースのスピード感になってしまい、すごく慎重になります。ここをどう絡めていくかです。

 例えば日韓でお菓子の工場を操業していますが、生産レベルの層は今まであまり交流してこなかったのですが、それが変わりつつあります。お互いに徹底的に交流しながら、学ぶべきものは学んでいこうという流れに変わってきているのです。

 ─ やはり互いに刺激を受ける部分は大きいですか。

 玉塚 はい。日本の工場の従業員からすると、例えばこのレベルだったら、製品化される前にはじかれる。そのラインの中からチョコレートのパッケージが一部ずれていたりしたら、すぐに調整に入ります。

 一方で、韓国はどちらかというと生産性を重視する傾向にあります。まずは商品をどんどん作ることに重きをおいているといった具合です。ミクロレベルではお互いたくさんのチャレンジがあると思います。ただビジョンを共有してお互いをリスペクトし、お互いの強みをかけ算していけば、いろいろな可能性が生まれてくると思います。

 特にお菓子の領域は日本のマーケットと韓国のマーケットはそれぞれ違います。お互い母国に根差してやっており、進出しているアジアでもお互いが別々のテリトリーを持っている。

 そうではなくて、もっとスケールを大きくして、インドネシアやベトナムの工場がアジア全体をカバーするようにして日韓共同で投資をしていくといったことも可能になります。

 出遅れている北米でも日韓でジョイントベンチャーが動いています。資本力も含めて日韓で協業してグローバル展開していく取り組みは始まっています。

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