社長就任時の役割は非上場化
─ 16年に社長に就任したわけですが、どんな経営改革から始めたのですか。
田代 まずは、混乱の原因となった、上場会社であるために大株主が当社の経営に関与できるという問題を解決しないと経営が安定しないと思い、非上場化するためにスポンサーを探しました。そこで手を挙げてくれたのが、ある外資系投資ファンドでした。そして私が社長に就任した翌年、非上場化しました。
その後、経営が安定し、業績は、順調に改善しました。もちろん、コロナ禍の当初、2020年の3~5月は売り上げが激減し、会社が潰れるかもしれないというほどの危機感を持ちましたが、その年の8月からは前年以上にお客様のご利用が増えたのです。
それも女性や若い方たちが増えました。これまではどちらかというと、年配の方たちが多かった。この層の人たちはコロナに対して慎重だったので、戻りは少なかったのですが、その減った分を埋めたのが女性と若い方たちだったのです。その後も徐々に増え続けています。
─ 女性が増えたことをどのように解釈していますか。
田代 そもそも日本のゴルフ場は接待や会社の集まりといった、いわゆるビジネスの延長線で男性が多かった。しかし、ゴルフというスポーツを考えたとき、敷居を低くすれば女性も若い方も自分の人生の中のスポーツとして楽しめるのではないか。
私自身、米国でゴルフをやっていたので、アメリカ式のシンプルかつカジュアルなゴルフ場であれば、ちょっと時間ができたからとゴルフ場へ行ったり、女性同士でゴルフを楽しむことがあってもおかしくはないと。ですから、ゴルフのあり方を変えるべきだと思っていました。
その中で当社の強みだったのが、ゴルフ場のカジュアルさとコストパフォーマンスが良い点。自分でお金を払う場合に、やはり安くラウンドできることはとても重要な要素になります。
─ 敷居を下げることで女性や若者を引き付けることにつながると考えたのですね。
田代 ええ。ですから、先ほど申し上げたように、コロナ禍でジムや屋内レジャーに行けない方たちがゴルフの練習場やゴルフ場であれば、密も避けられると考えて足を運んでくださった。しかも、プレー代は安い時期には昼食付5000円程度でできるからです。平均単価も8000~9000円ですから、とにかくリーズナブルだと。
─ ゴルフ場もそれぞれでグレードが違うわけですね。
田代 はい。例えば「アコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブ」のようなプロトーナメントで使われるコースもあります。また、顧客の需要に応じて料金を変動させるレベニューマネジメントも導入しているので、お客様の需要が高いゴルフ場のプレー代は高くなります。
ただ、当社のゴルフ場の9割がカジュアルなゴルフ場になっており、徹底的にシンプルサービスを貫いています。ですから当社のゴルフ場に来たら基本的なことは自分でやっていただく。その代わりプレー代は安いですという仕組みなのです。
車でお越しになったお客様には自分のバッグやクラブは自分で降ろして運んでいただく。また、当社は自動チェックインシステムを導入しているので、お客様はフロントに行かずにチェックインとアウト、更には精算もできるようになっています。