コロナ禍での変化の兆しを捉えて…
旧日商岩井と旧ニチメンが合併し、2004年に誕生した双日。約160年前に設立された日本綿花、岩井商店・鈴木商店の3社を源流とする商社だ。
藤本氏がこれまで言い続けてきたのは「他社と同じことをしていても意味がない。双日らしさを出したい」ということ。それを具現化するために始まったのが、ユニークな発想と社名の双日を掛け合わせた『Hassojitz(ハッソウジツ)』プロジェクト。新たな発想から新たな価値を生み出し、それをビジネスとして実現しようというものだ。
プロジェクトでは、長期的な視点で会社とはどうあるべきかを考える意味で、2050年のあるべき姿を議論することからスタート。今から30年後に経営の中枢を担っているであろう若手社員に参加を呼びかけ、違う部署同士の社員が6つのチームを結成した。
商社はどうしても営業部門ごとのタコつぼ型組織になりやすいが、これからの社会課題を解決する上では、従来の縦軸では不十分な面もある。そのため、いろいろな部署に横串を刺し、従来とは違った発想で事業を生み出そうとしているのだ。
「入社後10年目くらいの35歳前後の社員を募ったら、もっと若い社員からもどんどん手が挙がったので、今はセーブするのに大変(笑)。やはり、今の役員同士で議論していても、目の前の事業が大事だから大胆な議論になりにくい。それよりも2050年の世界から見てあるべき商社像とはどんなものか? バックキャスティング(逆算)して物事を考えていくことが重要。30年後の会社を牽引するのは若い人たちなので、彼らが自由に発言し、目の付け所がいいねとか、双日って何か面白いことをやっているよねと、外の人たちから言われるような会社をつくっていきたい」(藤本氏)
小規模ながらも、ユニークな集団づくりへ。藤本氏の挑戦は続く。