2022-12-27

【2023年の中国経済はどうなる?】柯 隆・東京財団政策研究所主席研究員を直撃!

柯 隆 東京財団政策研究所主席研究員



 ─ まさにジレンマだし、緊張感が漂う時ですね。 

 柯 しかも、中国はまだ集団免疫ができていません。仮に国産ワクチンの効果がないのであれば、PCR検査につかったお金をファイザーなどの海外製ワクチンを輸入してくればよかった。輸入したワクチンを高齢者に優先して接種をすすめていれば、今の結果は多少なりとも変わったと思います。 

 結局、これは愛国主義の罠にはまったと言ってもいい。愛国主義とは何かと言ったら、国産ワクチンでなければダメだとこだわりすぎた。でも、コロナの話は科学の話ですから、国産だろうが、輸入ワクチンだろうが、収まればそれでいいじゃないですか。習近平体制が国産ワクチンにこだわったことが、自分たちの首を絞めることになったのだと思います。 

 ─ 日本のように国産ワクチンをつくれない国も問題ですが、愛国主義の罠というのは考えさせられる話ですね。 

 柯 全ての対応が遅すぎますよね。これからの不安要素を考えると、10月の共産党大会で習近平氏は異例の3期目に突入しました。ここで新しい執行部の人事が決まったわけです。ただし、新しい国務院(政府に当たる)の人事が決まるのは2023年3月の全人代(全国人民代表大会)です。 

 そうすると、現在は4カ月間ほどの政治空白が生まれています。つまり、3月まで新しい政策は決められない。この政治空白の大きさをいかに乗り切ることができるかが、今の習近平氏に問われていると思います。 

 ─ では、そうした状況を踏まえた上で、日本はどのように中国に向き合うべきだと考えますか。 

 柯 もちろん、日本の経済人はチャイナリスクを知っておかなければならない。とはいえ、日本にとっては中国への経済の依存度は高いわけですから、今からゼロチャイナの時代に戻すことはできません。ウィズチャイナを続けながら、どう経済活動を維持していくかが、全ての経済人に問われています。 

 日本企業にとって、中国という大きなマーケットを手放すことはできません。インドが急成長していると言っても、いきなり中国に代わるマーケットになるわけではありません。経済安全保障にかかわるようなところは守り、それ以外に押さえるべきところは押さえていって、各企業それぞれが中国との向き合い方について考えていくべきだと思います。

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