2022-12-27

【2023年の中国経済はどうなる?】柯 隆・東京財団政策研究所主席研究員を直撃!

柯 隆 東京財団政策研究所主席研究員

 


愛国主義の罠にはまった…

 ─ 中国も不動産バブル崩壊の入り口に入ったと。これは大変な影響になりますね。 

 柯 このように2022年を振り返ってみて、2023年の中国経済がどうなるかですが、一つの大きなポイントはゼロコロナ政策を続けるのか、否かということです。 

 ─ 今は中国政府のゼロコロナ政策に中国国民が不満を表明していますよね。これは従来の中国政府ではありえなかったと思うんですが。 

 柯 はい。つまり、今、習近平政権にとって難しい判断を迫られています。仮にゼロコロナ政策を転換した場合、これから12月、1月になってどんどん寒くなる。冬の乾燥でコロナウイルスが活発化しかねません。そうなると、これから爆発的にコロナ感染者数が増える可能性がある時期だということです。 

 そのタイミングで転換してしまった場合、共産党内部からも、転換したのは間違いだったのではないかという批判が起こりかねません。では、ゼロコロナ政策を続けるべきかと言ったら、長い間ロックダウン(都市封鎖)されて、これだけ多くの市民がこれ以上耐えられないと言っているわけですね。 

 ─ これは本当に難しい選択、判断になりますね。 

 柯 今はテレビをつけるとサッカーのワールドカップが開催されていますけど、海外では誰もマスクなどつけずに盛り上がっています。 

 それなのに、なぜ、自分たちだけが自国に留まって我慢しなければならないのか。そのギャップの差がマグマというか、ガスとなって溜まりつつあり、何かあったらドカンと爆発しかねない状況になっています。それが各都市での抗議デモとして表れているのではないでしょうか。 

 ─ これは中国政府も国民を抑えられると思っているわけですか。 

 柯 いや、上海だけでなく、中国各地で抗議デモが行われていますからね。結構危険な状態に近づいていると思います。 

 わたしが思うのは、もう少し温かい時期にゼロコロナ政策を解除しておけば良かったんだけれども、今更何を言っても遅いですよね。そういうことで、習近平体制はある種のジレンマに陥っているのだと思います。 

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