2022-11-22

みずほ信託・梅田圭の「課題解決型ソリューション戦略」 個人、企業の資産をいかに有効活用するか?

梅田圭・みずほ信託銀行社長



不動産を使った「働き方改革」


 不動産に関連して、みずほ信託が今、最も力を入れているのが「ワークプレイス改革」。みずほ信託を含め、従来の信託銀行の不動産ビジネスといえば、不動産の売り手と買い手をつなぐ「仲介」が主だった。

 しかし今は「その次元を超えて、いかに企業が持つバランスシートの中で効率を上げていくかという観点でワークプレイスに関する提案をしている」。

 例えば、自社オフィスが老朽化した企業からの相談があった。築20年、30年経った建物はどうしても大規模修繕など設備投資が必要になり、それは増加する一方だが、そのための原資をつくるのが難しかった。

 今は「カーボンニュートラル」の流れもあり、企業は自社オフィスのCO2削減も問われる時代。しかし、築年数の経ったオフィスでは、できることは限られてしまう。

 その時に売却するか、前述のようなセール・アンド・リースバックするかという選択になるわけだが、みずほ信託の顧客は売却を決断し、オフィスを移転することになった。

 その時に、みずほ信託が支援したのが「従業員起点の次世代オフィスづくり」。オフィス、建設のマネジメントをしている企業と連携し、そこにその企業の従業員も巻き込んだプロジェクトにして、新たなオフィスを構築していくといった事例が増えてきている。

 コロナ禍でリモートワークに取り組む企業が増え、足元では出社とのハイブリッドで臨むところが多いが、米グーグルや米ゴールドマン・サックスのように「いかに社員をオフィスに戻すか」を志向する企業も増えてきている。

「職種や業態によっては、オフィスに集まって、時に雑談も含めた情報交換ができるような競争環境を整えようという動きが強まっている。そこに我々は知恵を出し、お手伝いをしている」(梅田氏)

 みずほフィナンシャルグループ自身、21年に大手町・丸の内にグループ企業を集約。みずほ信託は中央区八重洲から、みずほ証券は千代田区神田駿河台から、それぞれ本社を移転するワークプレイス改革を実施。

 さらに、みずほ信託が15年に買収したシンプレクス不動産投資顧問(現・みずほ不動産投資顧問)が、みずほの本部がある大手町タワー16階に所在しているが、これは他社からも注目され、見学者も訪れている。

 不動産を切り口に「働き方改革」にまで踏み込むようなソリューションの提供を始めているということ。

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