「インフレ退治」はいつまで続くのか?
2023年以降の日米の株式市場の動きを考えると、米国はいつまでインフレ退治のための利上げを続けるかという読みが大事になります。早ければ年内、遅ければ来年年央まで続くことになります。
長引けば長引くほど、景気後退、リセッションにつながりますし、そうなると、米国株も頭打ち、低迷することになります。いずれにせよ、米国のインフレ退治のための利上げが続く中では、株価は波乱の展開が続きます。
一方、米国のインフレによって、日本もデフレを脱却して、来年4月以降には長期金利が1%、あるいは2%を付ける可能性も出ています。これは日本経済にとってプラスです。物価目標2%を、日本銀行が何もせずとも達成することになります。これによって、欧米に比べて日本の景気がよくなる可能性すら出てきます。
今後、円安によってインバウンド(訪日外国人観光客)が復活して、日本の消費が伸びることだけでなく、日本全体が今や「バーゲンセール」となっています。ですから、世界のマネーが日本の商品、株、不動産を買う展開が、23年以降一層加速されるかもしれません。
一言で言えば、23年は「欧米売りの日本買い」というのが、世界のマネーの大きな流れになると見ています。
岸田政権や日銀の新総裁が政策対応を誤らない限り、元三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二さんが指摘する「ゴールデンサークル」の波に乗って、日本経済は欧米に比べて好調、株価上昇という展開も期待できます。
そうなると来年年末には、バブルの頂上である日経平均3万8915円に限りなく近づく、あるいは突破するというのが楽観シナリオです。
中立シナリオは、どこまでも米国株の動きに連動、悲観シナリオは、日本は円安という好機を迎えているにもかかわらず、デフレを脱却できず、株価も低迷ということになります。
次の3年、日本経済と株価の命運が決まります。
すがした・きよひろ
投資家、投資戦略家(ストラテジスト)。学校法人立命館顧問。近畿大学世界経済研究所客員教授。政財界の幅広いネットワークで新興企業、ベンチャー企業の支援や金融顧問を務める。また、経営者や個人投資家向けのセミナー、フォーラム、勉強会などを主宰。菅下清廣の音声配信サービス「スガシタボイス」の次回の募集案内は無料ブログ「スガシタレポートオンライン」http://www.sugashita.jp/から告知します。『最速で最大の結果を出す!投資家が選ぶ「成長株」50銘柄』(KADOKAWA)、『株は波動が9割』(実務教育出版)、最新刊『史上最強の資産インフレ相場で大化けする日本株を買え!』(徳間書店)が好評発売中!