2022-08-25

【政界】「経験と実力」の布陣を強調するが…局面打開へ岸田首相の〝電撃〟内閣改造

イラスト・山田紳



「黄金の3年間」はない

 岸田は7月の参院選を勝利したことで、衆院を解散しない限り向こう3年間は大型国政選挙がなく、自身の政策課題に邁進することができる「黄金の3年間」を手に入れたとされる。

 しかし、「黄金期」はあり得ないことを岸田本人も分かっている。参院選直後の記者会見で「大きな課題が山積している。一つ一つを乗り越えるため、絶えず強い危機感と緊張感を持って臨んでいく。『黄金の3年間』などという考え方は全く持っていない」と語っていた。

 これまで衆院選も参院選も行われずに年間が過ぎたことは戦後2回あった。1980年6月の衆参同日選挙から83年6月の参院選までと、86年7月の衆参同日選挙から89年7月の参院選までの2回だ。

 ただ、1回目は途中で鈴木善幸政権から中曽根康弘政権に交代し、2回目も中曽根政権から竹下登政権に交代している。「黄金の3年間」を1人の首相が謳歌したことは戦後1度もないのだ。

 また、最近では2013年7月の参院選で勝利した当時の首相・安倍が「黄金の3年間」と呼ばれる期間を手に入れたことがあった。だが、安倍は翌14年11月に消費税率引き上げ延期の是非を問うため、衆院解散・総選挙に打って出ている。

 歴史的にみても「黄金の3年間」はない。岸田は今回の内閣改造を安倍の日程感に倣ったのなら、解散戦略も安倍の日程感を頼ることもありそうだ。そうなれば、再来年9月に自身の自民党総裁任期が切れるのを待たず衆院解散に踏み切る可能性は高い。

 それまで安定した政権運営を続けられるのかどうか。岸田は8月10日の記者会見で「2度の国政選挙で国民の皆さんからいただいた信任を、政策を進める力に変え、全身全霊で政策を断行し、この難局を突破していく」と語った。いよいよ「政策断行内閣」の真価が問われることになる。(敬称略)

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